第7話
「……はい?」
他全員の視線が集まる中、俺は訳も分からず首を傾げた。何言ってんだこの人。
「いや、だから専門家に分からないなら俺みたいなぺーぺーにわかる訳」
「それはあくまで魔道具の技術としての話でしょ。私が言ってるのはもっと奥の、根本的な話」
「……??」
いや、あの、魔道具の根本なら益々俺じゃないですよ。
脳内ショートを起こしかけたところで、ウールさんが手を挙げた。
「えぇと、クフェア、様」
「なぁに、研修生の坊や」
ウールさんは一瞬眉をピクつかせたが、すぐに真顔に戻った。
「僕達が隅々まで確認しましたが、異変は少しも見当たりませんでした。また、国長が点検した時は問題なかったと」
「だからね、それは魔導士の視点から見てるからダメなのよ」
「は?」
眉の間に深い皺を刻むウールさん。それを見て、実に面白そうに笑う師匠。性根腐ってんな……。
「アルク、後で説教」
「すいませんした。でも人の事虐めるのやめて下さい」
「保証は出来ないかな?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
大袈裟にも深ぁいため息をつき、世話のかかる師匠の代わりにウールさんに向き合った。
「ウールさん、本当に申し訳ありません。師匠……、彼女に悪気はない、いえ悪気しかないのですが」
「ちょっと」
「性根腐ってる割に悪人ではないので、大目に見てあげて下さい」
「ちょっと!!」
深々と頭を下げると、ウールさんは如何にも不機嫌そうにツンッとそっぽ向いた。
「まあ、僕とて子供の意地悪を許容出来ない程小さくないですよ」
「お子様が偉そうに」
「見るからにあんたの方が年下だろうが!!」
互いに完全にヒートアップしてバッチバチに激しい火花が散る。師匠……、その姿で人の事『お子様』は流石に言えないですよ…………。
完全に蚊帳の外となった俺は、サンスさんと目が合って苦笑した。
「何か……、すいません、ほんと」
「いえ……、こちらこそ」
ここで俺とサンスさんは、互いに苦労人だと察したのである。
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「はーい、師匠そろそろ終わりにして下さーい」
「ウール、お前お子様じゃないんだろ。大人気ないぞ」
ずーっと言い合いし続けていた2人を引き剥がし、ため息をつく。ウールさんの方はサンスさんに任せて、俺は少し離れた所で師匠に耳打ちした。
「それで師匠、俺の専門って何ですか?」
「……まだ気付いてなかったの?この頃いつにも増して鈍いわね」
「余計なお世話です」
頰を軽く膨らませると、一切遠慮のない指でドスッと音がする程思いっきりド突かれた。平手打ちを喰らった箇所だったのもあり、あまりの痛さに突っ伏して悶絶する。
「無理矢理可愛げ出そうとするのやめなさい」
「
確かに可愛げ狙ったけどさぁ、何も急所に止め刺しになくてもさぁ……。そこそこ頭良い割に解決方法は大体力業だからなぁ、この人……。
外見詐欺ともいえるレベルで華奢で可憐な見た目と反して随分脳筋思考である。
「これだけヒントあげても無理なのねー……。もうほぼ答えな気もするけど、これで最後の大ヒント」
師匠はパンッと軽く手を叩き上げいたかと思うと、満面の笑みになった。
「アルクにしか出来ない事……魔力を見ればいいのよ」
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