~始まりの村~ 10 魔法も技能も使いよう
いつもより長めです
――――――――――――――
こうなったら一か八か、迎撃するぞ!
「俺が近づいて来たヤツから斬る」
「必要ない、ウィンドウォール!」MP8→6
ラピスがモンスターフィッシュ達に向かって手をかざすと、ヤツらの目の前に風の障壁を展開される。
飛び上がって牙をむいていたモンスターフィッシュ達は、突然目の前に現れた風の障壁が放つ風圧によって吹き飛ばされ、遠くの水面にチャポンと音を立てて落ちる。
弱い部類とはいえ流石にモンスター5体の今の衝撃に耐えきれなかったからか、風の障壁は消失してしまう……が、これで漕いで逃げる猶予ができた。
ラピスもそれを理解しており、俺達は同時にオールを握り直して一気に漕いで船を進める。
カランカラン……。
白59成功
バンカ30成功
「「いっけえええええ!!」」
船は先ほどのようなスピードは出ていないが確実に前進し、モンスターフィッシュ達に追いつかれる前に岸へと辿り着いた。
「飛び降りろ!」
「分かった!」
ラピスの叫びを聞き、反射的に船から跳び上がって降りる。
俺が跳び降りたと同時に、ラピスもすぐに船から跳び降りて自身のバックに船を収納する。これで二度目だが、身の丈以上の物が腰に下げられる小さなカバンに入っていくという光景は何度見ても慣れないな。
その収納作業を終えたラピスは水面からバックステップで距離を取る。
すると、さっきまでラピスがいた場所に喰らいつく、モンスターフィッシュの顎が見えた。
「「・・・」」
噛みつき空を切り、獲物を逃がしたことを悟ったモンスターフィッシュ達はこちらを睨みつけた後、水面をパシャリと叩いてから身を翻し、運河へと戻っ———
「うらぁ!」
……ラピスの投げた石が見当違いの方向へと飛んでいった。
何やっとんだ、お前は。
「あの魚類マジでムカつく…!次あったら絶対に焼き魚にしてやる」
成程、結果的にモンスターフィッシュから逃げる形になったのが嫌だったのか。
プライド高そうだもんな、こいつ。
「とりあえず落ち着け、魚類に対抗意識持つ暇あったら先に行くぞ。どの道、帰りには今通って来た道を戻らなければならないんだからな」
「……仕方ない、焼き魚作りはひとまず帰りにして、今はヌシ様とかいうのをしばきにいくか」
「しばくなよ?俺達はヌシ様の様子を見に行くだからな?乱暴なことはすんなよ?」
だが、状況によってはそうせざる負えないのがな……。
何はともあれ、とにかくだ。ヌシ様の様子を見にこの先を進むのには変わりはない。
「ひとまず、次のルートを決めるぞ。目の前の森は区間6で、その隣が区間5、さらに隣が区間4になっている。特徴としては区間4が様々な種類のモンスターが蔓延る危険地帯。いつどんなモンスターに襲われるか分からないから、俺としては正直行きたくない」
「それなら区間6はどんな感じだ?」
「6は区間1とう同様に、あるモンスターの縄張りで、そのモンスターの名は走竜だ。特徴は二足歩行ですばしっこい印象を持つトカゲ、竜と名を冠するが実際はそこまでの強さは持っていない。だが、単体でのランクがDランクで普通の冒険者と同等かそれ以上の強さを持つ」
「……もしかしてそいつ、群れるヤツか?」
「そうだ、しかも大規模な群れをなしている。その上に知能も高く、決して1対複数での狩りを行う厄介な奴らだ。それを踏まえた脅威度では、グレゴリベアを凌ぐレベルだから絶対に進みたくない」
「ラプトルじゃねぇか」
「らぷとる?」
「……私の地元にはそういう名前の似た奴らが(絶滅してるけど)いたんだよ。色んな場所にたくさん」
お前の地元怖っ!?
走竜があちこちで走り回ってるなんて、どこの魔境だよ……。
もしや、こいつの喧嘩っ早い性質は、そういう脅威がずっと身近にいる環境に身を置いてたからなのか?
「……それで、区間5だがたまに区間4から流れてきたモンスターとかが出没する程度で、他と比べて遭遇頻度は少ない。だから、俺としてはこの道をおススメする」
カランカラン……。
そんな俺の説明を聞き、しばし思案した様子のラピスだったが、どこに行くか決断したのか地図()の一点を指さした。
「よし、区間4に行くか」
・・・いや、ちょっと待てや。
「何でだよ!?今の説明聞いたら絶対に区間5を選ぶだろ」
「いや、1つだけ他とは明らかに危険度が少ないなんて逆に怪しいだろ」
「怪しいって……」
「こういうパターンは安全な方に行くと、何か罠が仕掛けてあるだろ、半分の確率で!だからあえて危険度が高い場所に行く」
「……それなら目の前の走竜の縄張りの様子は見ないのか」
「いやだって、入った瞬間に襲われるだろ」
するとラピスが森の方へと指を指す。
その方向を見るが………何もいない。
「……何かいたのか」
「ラプトル連中が数体、こっちを観察してた」
「———ッ!」
「いつもなら行ってもよかったが、現状の私は流石にあんな見え見えの地雷には踏み込む真似はしない。だから安心しろ」
「……そうか、助かる」
「よし、なら区間4に行くぞ」
「……分かった、ひとまずはお前の方針に従う」
俺はしぶしぶと頷き、ラピスの方針に同意する。
だが、移動する前に体を休めた方がいいだろう。
そう思った俺はラピスを引き留めようとしたが、さっきの言葉が気になったのでラピスについていくことにした。
休息は移動した先でもできる、そう結論付けて。
「何してんの、置いてくぞー」
「すまん、今行く」
急かされてので、駆け足でラピスの元へと向かう。
……その時、区間6の森でガサリと、草が揺れる音がした。
振り返るが、静寂に包まれた森が広がるだけだ。
『数体、こっちを観察してた』
・・・。
「ラピス、川原を沿って区間4の前に着いたら一旦休息をとるぞ」
「何でさ、別にいらないだろ」
「考えなしか、いいか?モンスターの住む森を進むのは想像以上に精神的にも疲れる。この
先もモンスターがたくさんいるかもしれない場所を通るなら、精神的疲労を少しでも回復させる必要が———」
俺は肝に銘じた。
グレゴリベアと運よく出会わなかった故に自覚しない間に緩んでいた気を引き締め、この先は決して油断しないようにと…。
俺達はしばらくの間、川原を進んでいた。
時折、森や運河の方から感じる視線に気を張りながら、この先で行うことをすり合わせる。
俺達の目的は、さっきも言った通りヌシ様の様子を確認することだ。
何か異変があれば、村に戻って村長へと報告する。
それだけだ。
……そう、俺達は決して異変の解決をしに向かったのではない。
俺達は異変の詳細の偵察するために来たのだ。
だからヌシ様を発見次第、何かがあれば撤退することを念願に置かなければならない。
それを伝えると、ラピスは仕方ないといった様子で頷いてくれた。
随分不服そうだったが、こいつはバトルジャーキーとかいう闘争本能丸出しの脳筋の一種なのだろうか。
そんなこんなで、モンスターに襲われることなく川原を進むこと約半刻ほどで、目的の区間4前へと辿り着いた。
ここでしばしの休息を取る。
「なぁバンカ、お前はヌシ様の戦ってる姿とか見たことあるか?あるなら、どんな姿をしてるか、攻撃方法を取るか教えてくんね」
大きな石に腰掛けているラピスが、そんなことを聞いて来た。
こいつは村に入った初日から、こつこつと村の連中から情報収集していたらしいので、誰かからヌシ様についての情報も聞いてるはずだ。
なにせ、数年前とはいえ村に居るほぼ全員が、ヌシ様の魔王軍連中を薙ぎ倒していく姿を刮目したのだ。あの光景を忘れろという方が難しいだろう。
なのに、わざわざ俺に聞いてくる理由は分からない。
だが、頼られるのも悪くない。
念のために情報の共有がてら答えておくか。
「…ヌシ様の姿は4本の尾を持つ巨大な狐だ、種族は知らない。主な攻撃手段は爪によるひっかきに尾による叩きつけ、そして氷属性の広範囲攻撃魔法だ。あれを防げるかと聞かれれば、不可能だと言わざる負えないな」
「そんなにか、ちなみにどんな感じで放たれる魔法なんだ。それから、遮蔽物があれば防げるものか?」
「どんな感じの魔法かか?確か……白い玉を生み出して放つ。その玉が着弾すると、着弾した場所からすべてを凍てつかせるくらいの冷気が周囲に放たれて、周りの物を凍りつかせる感じだったはずだ。遮蔽物とかを用意したとしても、全身を隠すくらいの盾か全方位を防ぐ壁じゃなければ防ぐのは不可能だが……魔法の障壁なら、着弾地点を見てすぐに展開して身を隠せばあるいは、防ぐのは不可能ではない…はず」
「何だ、自信ねぇのかよ」
「当たり前だ、生まれてこれまで上級魔法なんてくらったことなんて無いしな」
「ふむ……、なら私のウィンドウォールで防げると思うか?」
「お前の障壁だと……直撃しなければ相手の魔法威力を半分下回らないくらいなら、耐えられると思う」
「……やっぱ、ぶっつけ本番しかないか。参考程度に心に留めておくわ」
「ああ、そうしてくれ」
俺自身も遠くから見た程度で、実際の威力は凄い()程度しか分からない。
そんな俺の言葉では信用できないだろう。正しい判断だ。
「ラピス、この先は絶対戦いが起こると思う、ヒールビーの蜜を1本くれないか」
「え、やだ」
「・・・」
「だってこれ、私が採取したもんだ。お前に渡す筋合いなんて無いし、そもそも私は回復ポーション1本しか持ってないから自分が使う分の回復手段として採取したんだ。欲しければポーション数本寄こせ」
「……そういう事情なら仕方ない…のか?」
そういえばラピスは、村長の倉庫であまり回復系のポーションを選んでなかったな。
自業自得な気もするが、回復手段が少ないのはこの先を進むには不安なので、2本の下級ポーションを渡しておく。
すると、ラピスは機嫌よくハニービーの蜜を渡してきた。
「ほれ、感謝しろよ」
「言っとくが俺も、グレゴリベアが近づいてこないか周囲を警戒してたんだぞ。当然の報酬だ」
「はいはい、ならお前も採取しとけばよかったじゃん。まだ残ってたんだし」
「……採り過ぎるのはハニービーに悪いし、そもそもあの場は早く森を抜けたいとはやってたからな。そんなことをしようだなんて、考え無かったんだよ」
「もったいないな、帰りにっもう1回寄るか?」
「……いや縄張りに、しかも、自分のえさ場に知らない臭いが付いたんだ。今頃は俺達が侵入したことはバレてるだろうし、もう一度踏み入ったら今度は絶対に遭遇して戦闘になるぞ」
「臨むところだ」
「臨むな」
その後は、互いの所持品についてすり合わせておいた。
俺の武器防具は「鉄の剣」に村長から頂いた皮鎧、所持品は道具入れにいつも持ち歩いている食料1日分、下級ポーション3本に中級ポーション1本、中級の魔法本1冊、さっきラピスから受け取ったハニービーの蜜1つだ。
こうして見ると、予備の武器を持ってくればよかったな。
だが、後悔あとに立たずという言葉がある。
今は切り替えて、今ある手札で何とかしよう。
それでラピスの所持品なのだが、流石はアイテムボックス持ちというべきか。女1人が持てる重量を軽く超えた荷物だった。
まず、村長から借りた船に、ラピスの武器であろう鉄の棒が3本、何かの皮鎧を身に付け、数日分の食糧。そしてなんと「自動マップ」とかいう魔道具を所持していた。
見た目は薄い板で、この板に描かれた地図を見れば、これまで自分達が通って来た道や現在地を自動的にマッピングしてくれるのだという。
しかもメモができる機能もあるらしく、ヒールビーの巣のあった場所やモンスターフィッシュと戦闘した場所に目印が自動的に付けられていた。
なんだ、この破格の性能をした魔道具は。こんなの一度もお目にかかったことがないんだが?
他の持ち物については、ミスリルのショートソードに魔法のランプ、下級ポーション3本、ヒールビーの蜜1本、後は魔石が20個くらいだな。
中級の魔法本は、すでにラピス自身が使用して魔法を取得済みだから、当然持っていなかった。
魔法本は使用すると消えてしまうからこそ、とんでもない高額で取引される。
だから俺は、この魔法本の使用には慎重にならざる負えないのだが……。
「使えばいいだろ、使うの躊躇して使わないで死んだら洒落にならないからな。それでも使うのが嫌なら私にくれ」
「誰がやるか、今使おうとしたんだよ」
カランカラン……。
俺は魔法本を開く。
すると、俺の頭の中に文字の羅列が流れ込んできて、中級魔法の知識を植え付ける。
……よし、無事取得できたみたいだな。
「そういえ、その魔法本って属性はなんだ?」
「……水、だな」
「水ぅ?火の方がこの先で使い道あっただろ」
「いや、まぁ俺もそう思ったが……魔法を使えるようになっただけでも十分だろ。ぶっつけ本番でうまく使えるか分からんから、この場で試すがいいか」
「いいぞ、手札の把握も大事だからな」
ラピスが念のために俺から距離を取る。
それを見届けてから、前方に向かって手をかざし、生まれて初めて使う魔法を発動する。
……魔法の使い方は不思議と理解していた。
後は、呪文を紡ぐだけだ。
「ウォーターウォール」MP13→12
すると、目の前に水で構成された壁が生み出される。
形は長方形だ。しかし、この壁は発動時に自分の思い浮かべた形になるのだと理解できた。
今回は、俺が壁とはこういう形の物だと想像していたから、このような結果となったようだ。
試しにもう一度使ってみる。MP12→11
すると、今度は球体の形になった。
「思ったより変幻自在だな、ラピスの魔法も同じくらい形を変化させれるのか?」
「私のもそうだぞ。そのお陰で空中に展開したり、さっき魚類どもをぶっ飛ばしたみたいに風の向きとかを弄れるんだ。……それにしても、このウォーターウォールも使いようによっては結構相性良いかもしれないな」
「・・・?」
「なぁ、もしヌシ様と戦うことになったら、このタイミングで魔法を使え」
俺はラピスの話を聞く。
・・・・・・。
……その使い方は思いつかなかったな。もしそんな状況になったなら、やってみるか。
「それよりMPはもう使うなよ、ラスボス戦前に使えなくなりました~、じゃ習得した意味ねぇからな。回復手段もマナポーションとかいうのがあるが、そこまで頼りになる物じゃなさそうだからな」
「そうか?少なくとも中級魔法1回分使うくらいは回復するぞ」
「本来なら破格だろうが、ヌシ様とやらの話を聞く限りだと頼りない気がすんだよなぁ……。言うなればそいつ、ダゴン程じゃないと思うがビヤーキー辺りの神話生物と同じくらい強そうなんだよなぁ……。正直言って、私らが持ってる攻撃手段で倒せるかが分からん。しかも範囲攻撃持ちときた、そいつ相手にMPが3程度回復したってすぐに壁作るのに消える未来しか見えねぇんだけど」
「……神話生物とは、ケルベロスやフンババのような伝承の生物のことか」
「そっちでもそいつらいんのかよ。ちょっと違うが、気持ち悪い見た目のモンスターだと思っておけばオッケーだ。まっ、この世界にいるわけがないだろうけどな」
「……そうか」
まったくもって意味が分からなかったが、とにかくこいつにとっての神話生物とは毒虫みたいな存在なんだなと思っておこう。
……会話してたら小腹がすいてきたな。
この機会に軽く口に入れておくか。
そう思い、食糧が入った袋から揚げ芋を取り出して頬張る。
うん、うまい。
「ラピスもこの機会に喰ったらどうだ」
「……なぁ、さっきから気になってたんだが、自然と私のことをラピスって名前で呼ぶようになったな」
「———」
「いや名前で呼ぶのは別にいけどさ、どうして白髪女呼びを止めたんだよ」
「……今更ながら、お前を少しは信用できると思ったからだ」
「・・・」
「なにせ、お前が村に来た途端、ゴブリン共の姿を目撃するようになったんだ。余所者が滅多に来ない村だから、お前のことを異変を起こした張本人、またはその仲間だと思って今まで警戒してたからだ」
「……マジでか、私ってそんな疑われる程に怪しかったか?」
「バリバリ怪しかった。そもそも初対面の相手に殺意満々の蹴りをくらわせて来た時点でお前の評価、野盗の類と同じだったぞ」
「……確かに!」
俺の言葉にワハハと笑う
やっぱりこいつ、性格悪いな。
だが、ガキ共や村の人達への接し方、こいつの素を見た後だと、これまでの行動も鑑みて、少しは信用してもいいのではないかと思えた。
だから俺は、白髪女という呼び方を改めようと思った。
これからは警戒対象ではなく、共に戦う仲間として。
「今まで変な呼び方をしてすまなかった」
「・・・」
俺はラピスに頭を下げる。
そんな俺の態度を見たラピスは………
「ふーん、まだ私のことを完全に信用してないのにか?」
「———ッ!」
「だが、まぁ仕方ないか。なにせ私の身の潔白はまだ証明されておらず、この先で裏切る可能性は未だゼロではない。頭を下げたのは私がスパイとかだった場合、信用されてるって油断させてボロを出させるつもりだったか?そんなことせずとも、依頼分は働くから心配すんなよ」
ラピスはそう言うと、話は終わりだと言わんばかりに視線を外し、自分の食料を食べ始めた。
………やっぱ俺の復芸、未熟だったか。
それから俺達はしばらくの間体を休めた。
その間に特にトラブルもなく過ごし、十分に疲れが取れたと判断すると、すぐに区間4への森の中へと足を踏み入れた。
この先には何が待ち受けているか分からない。
いつでも戦闘を始めれるよう、万全の準備で向かった。
………向かったのだが、それを見つけたのは森に入ってすぐのことだった。
「———ッ、これは……!」
冷たい風が吹きつける森。
そこには、この森に住んでいる様々な獣達が、生前の姿を保ったまま死体となって転がっている光景があった。
1体や2体ではない。何十もの死骸が森の至る所に転がっていた。
種族に統一感はなく、小型大型問わず死に絶えている。
一体誰が、どのような目的でモンスター達を殺したのか。
それを考えると、心の底から恐怖が湧きだしてきた。
カランカラン……。
白75 SAN39→37
バンカ73 SAN65→62
「ぐふっ」
「ぐへっ、いつもより気分が悪く……」
俺はこれまでモンスターの死体なんて何度も見たことがあるのに……森に異変が起こっているなんて分かり切っていたはずなのに、どうして目の前の惨状にここまで動揺してるんだ……?
確かに非道な光景だが、覚悟をしていたはずだろ。しっかりしろ、俺……!
「……よし、落ち着いた。ラピスは大丈夫か」
「大丈夫…なわけねぇ。気分が悪い」
「お前もか、どうする?休んどくか」
「き、気にすんな、もう治って来た。だからさっさと手掛かり探すぞ」
「お、おう、無理すんなよ」
ラピスの様子を気にしながらも、2人で死体の様子や周囲の状況を調べる。
カランカラン……。
白93失敗 59失敗
バンカ93失敗 29失敗
…………何も分からんかった。
「……そっちは何か分かったか」
「なーんも分からん、こりゃ駄目だわ。次行くぞ次」
「お、おう……」
―――――――――――――――
《……走竜の巣に突っ込めば、区間の半ば辺りから無限湧き走竜の鬼ごっこが見れたのに……。そうでなくても、区間5へと行けばもっと面白い物を見れたんでしょうけど……まぁラピス・ホワイトのSANを減らせただけでも喜びましょう》
《……さて、もうすぐこのチュートリアルシナリオの最終決戦が近づいてきましたよ。無事、2人は生き残ることができるのでしょうか。こうご期待ですね》
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