~始まりの村~ 7 汚物()は消毒だー!

 カクヨムで図とか入れるには、どうすればいいのだろうか?

 ―――――――――――――――


「頑張って来いよ~~!」

「バンカ~、ホワイトちゃんの足引っ張んなよ~~」

「ラピス様に傷1つ付けたらお前をぶっ飛ばすぞ―――!」

「なんで誰1人俺を応援する奴がいないだ!ふざけんな!」


 そんな村の仲間からのありがたいエールを受けた俺は、お礼のアイアンクローを同僚に味遭わせてから森へと向かった。

 やはり、今日も野生動物の声がしないな。


「んで、ゴブリンのいる場所って検討ついてんの?」

「とりあえず、森の浅層域を9区域別に分けておいた。これを元に探るぞ」


 そう言って白髪女へと地図を見せる。

          

 ―――――――――――――――

【マジで雑な地図】

           西━東

     ↑村          

| 1 | 2 | 3 |

| 4 | 5  | 6 |

| 7 | 8 | 9 |

    ↓中層域へ      

 ―――――――――――――――

「……もっと見やすくできなかったのか?」

「うっさい、分かるだけマシだろ。ちなみに、昨日俺達がゴブリンに遭遇したのは5の区域だ」

「なら、まずはそこに行ってみるか。……ところで、1日にどれくらいの区間を回れるんだ?」

「そうだな……。もしゴブリンと戦闘しても、手こずらなければ1日で5つ探せる。そうでなくても、4つは暗くなる前にできると思うぞ」

「そっか、なら探索場所は慎重に決める必要があるのか」


 白髪女の言う通り、調査する場所は慎重に決めなくては取り返しの付かないことになるかもしれない。

 現時点で異変の正体さえ掴めてすらいない。しかし、俺には大体の予想が付いていた。

 俺だけではなく、村長も同じ相手を考えているのではないだろうか?だからこそ、外部の者である白髪女に頼る結論をしたのだろう。

 素性はどうあれ、人間ならばこちらの手勢に加えられると信じて……。

 それに、もし俺が想定している相手だとするならば、悠長に事を構えていてはいられない。せめて奴らの拠点か、それに関する痕跡か情報があればいいのだが……。


「ここが昨日の場所だ」


 そうこう考えてる内に、区間5へと辿り着いた。

 木々が多いこの場所には地面にたくさんの葉っぱが落ちており、丈の長い植物も生えている。

 しかし、そんな場所に土が剥き出しの場所ができていた。

 昨日遭遇したゴブリンの埋葬した場所だな。

 そこは俺達が掘って埋めた時と変わっておらず、あの後掘り起こされた形跡も見えない。


 カランカラン……。  


 いや待て。


「昨日、俺この上に落ち葉を置いて覆い隠してたよな?」

「…そういえばそうだ」

「でも、今見たらどかされてるってことは……」

「間違いなく誰かにバレてるね、私達がこの場所でゴブリン共を惨殺した事」

「「・・・」」

「と、とにかく、他に何か痕跡が無いか探すか」

「そうだな」


 カランカラン……。 


 俺達は周囲の植物をかき分けて痕跡を探す。

 すると、俺はゴブリン共の足跡を見つけた。


 カランカラン……。 


 足跡の数からして数は……3匹。どれも区間7へと向かっているな。

 白髪女に情報を共有する。


「お前って、案外ステータス優秀なんだな」

「すてーたす?ま、まぁ何年もこの森に潜ってるし、森の探索にも慣れているから当然だ」

「成程、ただのNPCでは無いのね」


 またよく分からない言葉を使った白髪女が、区間7へと向かって行く。

 俺もその後を追いかけた。


 カランカラン……。


 ……うん?なんか突然ダイスの音が———


「構えて」

「———ッ!」


 白髪女の言葉を聞き、俺は腰に差している剣を抜いて構える。

 突然のことにビックリしながらも、彼女は何かを感じたのだろう。そう思い周囲を警戒していく。


 カランカラン……。


 ———右斜め後ろの草むらから気配を感じた。


「また失敗……!」

「右斜め後ろ、何かいる!」

「———!」


 今度は俺が声を張り上げる。

 白髪女が振り返る中、そいつらは草むらから俺達の目の前に飛び出してきた。


「「「グギャッ!」」」

「……3匹か、さっさと倒すぞ」

「分かってる」


 その言葉と同時に、白髪女は手に持つ鉄の棒で突きを繰り出す。

 一番前にいたゴブリンの腹に直撃し、大きく吹っ飛ばされた。

 あの様子だと戦線復帰は無理そうだ。もしかしたら、今ので内臓か骨を砕いて倒せたかもしれない。

 流石の怪力だな。

 俺も、自警団の一員として負けてられない。


「ふっ———」

「グギィ!?」


 もう1匹のゴブリンを剣で切り捨てる。

 ゴブリンくらいなら1撃で倒せるのか。なら最後の1匹も俺が仕留めよう。

 そう思っていたのに、最後のゴブリンが白髪女にナイフで斬りかかる。

 しかし、ゴブリンの拙い剣技では人に当てる事さえできずに宙を切りつけ、白髪女のフルスイングをもろに受けて吹き飛んでいった。


「前より早く済んだな。まぁ当然か。今回は武器持ち個体は1匹しかいなかったし」

「それはいいとして、こいつらは俺達を見張ってたのか?だとしたら話は変わるんだが……?」

「それはないでしょ。ここで私達を襲ってきたんだし、森に入ってからここまで誰かから観察されてる気配とかは無かったからた、偶然の遭遇でしょ」

「そうか、ならこのまま進んでも問題ないか」


 俺達はゴブリン3匹の遺骸を放置して先へと向かった。

 どうせ気付かれるのだし、穴掘って埋める時間さえ惜しい。

 そう思ったので、今回はそのままの状態で向かうことにした。


 しばらく森を進んで区間7へと辿り着く。

 ゴブリンの気配は……まだ感じない。


「よし、さっきみたいに探してみるぞ」

「分かってる」


 カランカラン……。と、俺の耳にダイスの音が聞こえる。

 思えば、この音にも慣れてきたな……。俺が何か行動をする時に聞こえてくるこの音は、今のところは悪影響無いし、何だか気にするだけ無駄なように思えてきた。

 これは危ない思考なのかもしえない。気を緩ませ過ぎたか?

 そう思ってると、またしてもゴブリンの痕跡を見つけた。


「バンカ」

「分かってる」


 今回は白髪女もこの痕跡を見つけていたようだ。

 俺達はその痕跡を頼りに区間7の森を進む。道中ではゴブリンに遭遇することなく順調に進み、やがて大きな切り株がある場所へと辿り着いた。

 痕跡はこの切り株へと続いている。調べてみるか。


 カランカラン……。

「……!この切り株の裏に、人間1人が通れそうな穴があるな。……マジか、階段まで用意されてる」

「おまけに、ゴブリンの足跡まであるとは……」


 切り株の裏を調べると、大きな穴とそこから地下へと続く石造りの階段があった。

 俺もたまにこの場所を通るが、今まで見かけなかったし気づかなかったぞ、こんな場所!

 と、とりあえず、進むか戻るか決めるか。


「なぁ、お前は先へすす」

「進むに決まってんじゃん。そのためのランプだろーがよ」

「……はいはい」


 やる気というか、殺る気満々な白髪女に若干の恐怖を覚えた俺だが———カランカラン……。———なんでこのタイミングでダイスが!?

 白髪女の方を見ても、何も感じていないようだった。ダイス音が鳴る基準が分からん。

 とにかく、俺達は先へと進むことにしたのだった。



「———ッ!ここは……」


 階段を降りた先には、ゴブリンの集落があった。

 現在、俺達は階段を降りてすぐの藁が積まれた場所に潜んでいる。

 恐らくは、床が石でできているため、快適に寝っ転がるために集めた藁なのだろうが、俺達にとってはよい隠れ場所となっていた。

 てかここの石造りの広面、何かの遺跡かと思ったら最近できたものか?

 ゴブリンが住んでるから汚いが、老朽化はほとんどしてないし……。


 ………それにしても、何匹いるだ、ここに?

 この場所から見渡しても、視界には必ず10匹以上のゴブリンの姿が納まる。

 これは、ヤバイな……。

 集落を作ってるってことは、既に繁殖してそれなりの規模になってるってことだろう。

 そう思っていると案の定、幼体のゴブリンの姿が見えた。

 そこで俺は確信する。ここで戦闘してしまえば数の暴力で殺されると。


「よし、目的を達成した、見つかる前に戻るぞ」

「なんでさ、殲滅しないのか?」

「できるわけがないだろ、あの規模の集落だと100匹くらいいる。そんな数相手に勝てるわけがない」

「……そっか、なら仕方がない」


 血気盛んな白髪女でも、流石に納得してくれたか。

 そう思ってた俺が馬鹿でした。


「よっせい」

「……何やってんだ」

「(村から拝借してきた)油敷いてる」

「油?」


 何でそんな貴重な物を……。

 そんな言葉が紡がれる前に、この女はやらかした。


「そいやー」

「———」


 俺達が潜む藁の中。そこから石の床を流れる油の道は、とある木や藁でできた一軒に続いている。

 そんな油の道に白髪女は……小さな火を落とした。

 いやちょ、待て待て待て待て!?


「脱出するよ」(小声)

「……言われなくても!」(小声)


 俺達は藁の山に火が付く前に離れ、さっきの階段へと向かった。

 背後からは、ゴブリン共のグギャグギャ!?とかいう叫喚が聞こえるが、そんなもの構ってられない。この広間が炎に包まれる前に脱出する。

 武器を構えながら階段へと飛び込み、外にいたゴブリンが降りて来てないことを確認して階段を駆け上がろうとする。

 だが、白髪女は階段を5段程上った時点で立ち止まり、後ろを振り向く。

 まさか、殿をするつもりか……!


「まて、俺がや」

「ウィンドウォール!」

「———は?」


 白髪女が呪文を唱えると、風で出来た壁が階段とゴブリンの集落のある広間を塞いだ。

 いや、待て、お前……魔法使えたのかよ!

 ならさっさと使えよ!


「今の内にいくぞ」

「お、おう」


 俺達は階段を駆け上がる。

 上ってる最中に一度だけ降りてきたゴブリンと鉢合わせしたが、1匹だけだったので白髪女と俺で斬り伏せた。こいつの死体は追ってからの足止めとして使えるはずだ。

 そう思えば、あの場で遭遇したのは運がよかったのかもしれない。

 途中、白髪女が何回か魔法の壁を作ったりしながら、階段を上りきり外へと飛び出した俺達は、2人がかりで階段を埋め立てる。

 これで生き埋め状態にできただろう。


「……そろそろかな」

「そろそろって、何が……」


 白髪女がそう呟いた途端、地面が少しだけ揺れた。

 な、なんだ!?何が起こった!


「じ、地面が揺れて……!?」

「多分だけど、ゴブリンの集落に火薬とかあって、それに引火して爆発したんじゃないか?それか、バックドラフトやら何やらが起こって一気に燃えたとか」

「……だからお前、よく分からん言葉を使うな。一般言語で話してくれ」


 そんな俺の要望に考えるような仕草をした白髪女だが、面倒臭そうに肩をすくめた。

 こ、こいつ……!


「ともかく、下にいるゴブリンは全滅したってこと。しばらくは確認しない方がいいかもだけど、数日経ったらゴブの残骸の調査すればいいと思う。そのころには火も完全に消えてるでしょ」

「……つまり、俺達は異変を解決できたってことか?」

「そゆこと」


 その言葉を聞くと、どっと疲れを感じて地面に座り込む。


「やっと、終わったか……」

「言うてまだ1日しか経ってないでしょ。それと、まだ全部解決してないからな」

「———!そうだった、ヌシ様の状態の確認が残ってた」

「そうそう、それに……」


 白髪女が鉄パイプを構えてある方向を指さす。

 気を引き締め直し、その場所へ向かうとゴブリンの姿が……そうだった、大元は断ったが、まだ外にいるんだったな。

 それじゃ、残りの時間は……。


「「ゴブリン退治」」


 俺達の声が重なる。それと同時に、俺達は明後日の方向をボケっと見ているゴブリンへと、各々の武器を振り下ろした。


「———グギゲェ~~~!?」


 その日、この森に何匹ものゴブリンの断末魔の声が響き渡るのだった。



 ―――――――――――――――

 戦闘フェーズ

 白→バンカ→ゴブリンズ

 第1ラウンド

 白(釘バット06成功MA60成功 8ダメージ → ゴブA)

 ゴブA(回避78失敗)

《ゴブリンAは鉄パイプによる突きで吹き飛ばされた。ゴブリンAは死亡しました》

 バンカ(刀剣14成功 9ダメージ → ゴブB)

 ゴブB(回避22失敗)

《バンカの剣がゴブリンBを切り捨てる。ゴブリンBは死亡しました》

 ゴブC(刃物32失敗)

《ゴブCがラピス・ホワイトにナイフで斬りかかるも空振る》

 第2ラウンド

 白(鉄パイプ31成功MA10成功 8ダメージ → ゴブC)

 ゴブC(回避90失敗)

《鉄パイプのフルスイングがゴブリンCの身体を捉え、ボールの様に吹き飛ばされる。ゴブリンCは死亡しました》

《戦闘終了です》


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