男嫌いで有名なパーティが俺の正体を探ろうとしてくる件について

クククランダ

第1話 平和な日常


 なんだか眩しいな。


 そう思いながら目を開けるとカーテンの隙間から漏れ出た光が目に注がれていた。



「……もう朝か」


 上体を起こして軽く体を上へ伸ばす。すると、大きめのあくびが出た。


「まだちょっとぼやけてんなー」


 寝起きだからか目のピントが合っていない。しかも心なしか頭もぼーっとする。


 こういう時はアレだな。そう思い、ベッドから降りて窓を開けた。


「あー、気持ち良い」


 優しい風と暖かい太陽の光を目を閉じて堪能する。大体1分くらい目を閉じて、ゆっくりと目を開けるとクリアになった。

 


「良い天気だなー」


 クリアになった目で青空を見ると清々しい気持ちになる。やはり、これを行うと気持ちのいい状態で1日が始まるなー。


 


「……」



 ついでに鉄鎧で全身武装した者や薄汚れた大剣を装備しているイカつい男が大通りを歩く姿も視界に映ってくる。


「……見るのやめよ」


 さっきからチラチラと視界に入ってくるせいで朝の清々しい気分が台無しである。これ以上気分が害されないように窓を閉めた。


「今日はどこに行こうかなー」


 どこかへ遊びに行くか、それとも仕事に行くか。


「あ……」


 遊びに行くとしたらどれくらい金残ってたっけ? 確認した方が良いな。


「げっ……全然残ってねぇな」


 財布の中には銀の貨幣が1枚と銅の貨幣が4枚しかない。これじゃどこも行けないな。


「しゃあねぇー。仕事行くかー」


 仕事着をクローゼットから引っ張り出すして着替える。そこそこ久しぶりに仕事するけど大丈夫かなー。


 そんなことを思いながら仕事場へ向かった。


ーー

 

 大通りを歩いていると、様々な音を耳が拾う。屋台の前で呼び込みをしている男の声、荷台を引く馬車の音。

 人が多く、栄えている証拠だ。


「久しぶりに来たな」


 大通りを歩くこと数十分が経過した。目の前には周りの民家とは比べ物にならないほどの大きな建造物がある。


「相変わらずでけー」


 中に入ると、たくさんの人間がいた。人はもちろんのこと、獣の耳や尻尾が生えている者や小さな体なのに筋骨隆々なおっさんもいる。



 流石は冒険者ギルドだ。この時間帯でも様々な人種が一定数いるな。


「さて、と」


 ギルドの中へ入って掲示板のところへ移動した。

 掲示板には無数の紙が貼られている。ここに貼られている紙は全て依頼書だ。


 さて、どれにしようか。

 

「お、これにしよっと」


『骨猪の狩猟』の紙を掲示板から剥がす。採取系の依頼でも良かったがこの依頼が1番割が良い。


 推定ランクも俺と同じ5だし、場所も『大老の森』でそれほど遠くもない。


 よし、これにしよう。決定だ。

 心の中で決めた時、肩を突かれた。なんだろうか?


「ん?……ぶぇ」


 振り向くと、頬に何か硬い物がぶつかった。これは、金属製の杖か?


「あはは、また引っかかった。単純だねーレンヤは」


「はぁ。お前なー」


 無理やり振り向くと赤を基調としたスカートに肩まで伸ばした水色の髪の少女の少女がいた。全てを見透かしたようなジトリとした目と常に浮かべている薄笑いが特徴的だ。


「やっほー、久しぶりーレンヤ」


「やっぱお前かよ。リーゼ」



 こいつの名前はリーゼ。俺と同じソロの冒険者であり、いつも俺をからかってくる奴だ。


「えー? 久々に会ったのにそんな反応はひどいんじゃなーい?」


 リーゼの言葉に思い返してみる。確か、1週間くらい前に会ったような気がする。それほど久しぶりだろうか? 

 そんなことを考えていると、



「今日は依頼受けに来たの?」


「ん? あーそうそう。今から骨猪の依頼をな」


「ちょっと見ていい?」


「良いぞ」


 別に面白いことなんか書かれてないけどな。

 紙を手渡すと、ふむふむとリーゼは読んでいく。


「ふーん、大老の森かぁ、特に面白そうな依頼でもないね」


 別に依頼に面白さとか求めないだろ。仕事だぞ、仕事。


「はい、返すね」


「どーも。リーゼはこれから依頼か?」


「んー、今日は別にって感じかなー。なんとなく寄ってみただけ」


 なんとなくでこんな血生臭い所に来るのか。やっぱり変わってんなー、こいつ。


「今、失礼なこと考えたでしょー?」


「いでで!」


 頬を思いっきりつねられてしまう。俺が余計なことを考えてたりしたらいつもこうやってつねってくる。もしかしてこいつは心が読めるのか? 


「痛い痛い。悪かった。俺が悪かったから離してくれ」


「……」


 満足したのかすんなりと離してくれた。しかし頬からジンジンとした痛みが伝わってくる。


「おーいてて。とりあえず行ってーー」


 来るわ。

 そう言おうと思ったが寸前で止まる。いつも騒がしい空気に包まれているギルドが変わっていたからだ。なんでだと思い、周りを見るとみんながギルドの入り口を見ていた。


「あいつらか……」


 入り口を見ると4人の少女が入ってきていた。


「ねぇ、今日はなんの任務受ける気なの? 私、めんどくさいのは嫌だからね」


「あはは、まぁ善処するよ」


「アリーシャ。ラクティを困らせないでください」


「なんでも良いから早くしよ。帰って寝たい」


「今きたばっかりでしょ。はぁ〜、まったくこの2人は」


 俺はそいつらを見てなぜギルドの空気が変わったのか理解した。






ーー




 タイトルまでにはあと数話かかります。それまでに面白いと思った方は星レビューをお願いします! 

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