地球に、乾杯!

めかでり田

 【1】 地の章 (と云っても約五百字)

 お邪魔します。


 わあ! 凄い……。高いですね。見晴らしが良い! ねえさん、金山かなやまへはよく来るんですか? ……え? ですヨ、此処ここのことです。名古屋じゃなくて、下呂の金山かなやま。……アハハ! 地名も知らずにいつも通っていた、と。

 いやー、それにしても格好良いトラックですわ。それを運転しているねえさんも格好良い。


 はい。発車ですね。お願いします。


 ……へえー、ねえさん、今から阿賀野あがのですか。──ええ、是非僕もお願いします。お手伝いしますから。拾っていただいた御恩を、荷役にえきでお返ししますよ。……と言っても、フォークリフトが運転できるわけではありませんが……。


 あー、熱帯夜、参っちまいますね。


 うわっ、今のいたちですか? 今の奴は轢かずに済んだようですけど……態々わざわざ轢かれに出て来ているようなモンですな。渠等かれら


 え、あ、僕ですか?


 アハハ……。ええ、うです。訳有わけありですよ。りゃ。


 うーん、高校二年生ですね──行ってれば。


 あ、学生服ですか? ふふふ‥‥‥似合ってるでしょ? まあ、その年頃の者が着れば、美醜びしゅうかかわらずこんなモン●●●●●ですわな。ハハ。


 ‥‥‥。


 ‥‥‥まあ、時間もありますし、お話ししましょう。──ええ、家出、ということになりますね。

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