デスゲーム爆弾付き首輪開発局
さわみずのあん
デスゲーム爆弾付き首輪開発局
「首だ首っ」
上司がそう言うと、同僚の首が吹っ飛ぶ。
文字通り。
爆弾付きの首輪の失敗作によって。
僕の勤めている会社は、デスゲームの企画運営をしている。
僕はその組織の中の、開発局で刺激的な毎日を送っている。
「首」
ぼんっ。
「首」
ぼんっ。
「首」
ぼんっ。
上司同僚部下。
首首首。
首が飛ぶ。
笑えるのが。僕たちが開発しているのが。
爆発しない爆弾付き首輪。
だということだ。
爆発しない爆弾付き首輪。
矛盾しているようだが、していない。
デス。という枠組みでは、矛盾しているが。
デスゲーム。という枠組みでは矛盾しない。
デスゲームはゲームの結果、デスしなければならない。
前回のゲームは、酷いものだった。
ゲームの説明中。
「ふざけるな」
と言って立ち上がった参加者が、ぼんっ。
なんと立ち上がった衝撃で、起爆してしまったのだ。
さらに、その爆風を受けた、隣の参加者の首輪も、ぼんっ。
爆発音のした方を見ようと、別の参加者が首を捻った振動で、ぼんっ。
ぼんっ。ぼんっ。ぼんっ。
に驚いた参加者も、ぼんっ。
ゲーム参加者五名のうち、四名がゲーム説明中にデスするという、爆笑もの。
結局、隅っこで、ぼうっとしていた参加者が、優勝するという結果になった。
当然企画運営に携わった、組織の上の人も。
ぼんっ。
ぼんっ。
ぼんっ。
まあ、そんなわけで。
僕たちは、爆発しない爆弾付き首輪を開発している。
のだが。
失敗は成功の母というように。
研究開発というものは、失敗を重ねて進めるものである。
だが、失敗を報告すると、ぼんっ。
当然。開発は遅々として進まない。
責任の所在という魔の手が、だんだんと僕に近づいてきている。
このままでは、明日から、永遠のぼんっ休みに入ってもおかしくない。
というわけで、僕は、一世一代の勝負に出た。
爆発しない爆弾付き首輪の開発は諦める。
今の開発段階での、爆発してしまう爆発しない爆弾付き首輪を利用した、ゲームを開発しよう。
という企画書を立てた。
要するに、些細な刺激で爆発してしまう、今の爆弾付き首輪を。
付ける。ということ自体をゲームにするのだ。
首に付けてしまうと、すぐにぼんっとしてしまうので、手首足首。これなら、一つ二つぼんっとしたところで、すぐには死なない。
肉体の動きを制限することで、老若男女。どんな人でも、楽しくデスゲームができるという企画である。
爆発しない爆弾付き首輪開発というデスゲームをクリアする良い企画だと思う。
失敗すれば、僕は、ぼんっなわけだが。
恐る恐る上司の顔色を伺う。
「うん。良い案だ」
よしっ。と僕は心の中で手を強く握った。
「私が考えたこの案は、良い案だ」
「ちょっ、ちょっと待ってくだ」
「君は、首だ」
組織。ということを僕は失念していたわけだ。
音声刺激により、僕の首輪は、ピピピと光り。
ぼんっ。
デスゲーム爆弾付き首輪開発局 さわみずのあん @sawamizunoann
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