年の離れた義妹と文化祭を一緒にまわる話

愛内那由多

プロローグ


 SE//ドアがノックされる音


「お義兄さん《おにいさん》いますか?」


「入りますね?」


SE//ドアが開く音


「今、少しいいですか?その……聞きたいことがあって」


 SE//ドアが閉まる音


「ここに入るのが、珍しい……、ですか……。確かに、初めてこの部屋に入りました……」


SE//しおんが鼻をくんくんとさせ、においを嗅ぐ


「なんだか、お義兄さんのにおいがしますね」


「……きらいじゃないですよ……」


「そういえば、女の人はにおいで相性のいい異性を決めるそうです。もしそうなら、……お義兄さんと、わたしは……どうなんでしょう?」


「冗談です」


「話がズレましたね」


(しおん少しもじもじする)


SE//しおんが指と指をこすり合わせる音


「いえ……。そんなに思いつめた話じゃないです。あっと……」


「緊張してるかって……?そうですね。少しだけ……」


「……家族なんだから、気にするな……ですか……」


「はっは……、泣いちゃいそう……」


「気を使わなくていいってこと……。なんだ~、そういう意味ですか……」


(僕は眉間にしわをよせる)


「なんでもないです……」


SE//しおんが小さく息を吸う


「その!……今週の土曜日、お暇ですか?なにか用事とか……」


「えっ……」


「研究があるから、大学に行かないといけない?」


「……。そうですか……」


「いえ……。でも、それなら……、仕方がないんです。優先しないといけないことがあるなら、わたしのことは後回しでも……」


「午後からなら大丈夫……ですか。ホント!?……ですか?」


「その……今週の土曜日に、ウチの学校で、文化祭があるんです……」


「だから、来てくれませんか?」


「ウチの学校、高等部と一緒に文化祭をやるんです。それで、家族の人とか誘う人が多くて……。でも、ママは来てくれないだろうし……。お父さんは……その、誘いにくくて……」


「だから……お義兄さんには来てもらいたくて……」


(しおんは距離を詰める)


(目の前に来て、上目づかいをする)


「ダメですか?」


「……ホント?」


「あっ……。もちろん、午後からでいいです」


(小声で)

「やったぁ、やったぁ」


「じゃあ、土曜の午後、楽しみにしてます」

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