第20話 情報交換
「で、昨日のあの男。一体誰ですか」
「…気付いていたのか」
立河家の料理人が作ったという弁当と共に、二人がやってきたのは軍の
隊長以上のみが使用できる部屋でお弁当を広げる。
外見の重箱と同じように豪華で品数も多い。
それと同じぐらい興味のある話題がある。
「あの男は軍の事務の一人だ」
「はい?」
軍の施設内で軍関係者の話。
凉花は無意識に緊張するのがわかった。
「第一部隊と関係はない。俺も顔しか見たことがない」
「でも軍の関係者なんですね」
「ああ、あの奈須と軍学校に同時入学だそうだ」
同時入学の同級生が二人とも暗殺対象。
事実はどうであれ、偶然として片付けることは難しい。
「二人と同時入学した人物を一覧にしてみた」
ぺらり、と佳入が名前の一覧を記した紙を取り出した。
表情を変えず凉花は目を通した。
暗殺対象の名前は見当たらず、静かに首を振る。
「そうか」
それだけで十分だったのだろう。
佳入は頷くと一覧をしまった。
と思うと、新たな紙を取り出した。
「それと、これは頼まれていたものだ」
「頼んだ覚えはありませんが、ありがとうございます」
紙を受け取って目を通す。
奈須の口の中に残っていた白い粉の成分。
病院で安易に調査することはできない。
それに調査する義務は凉花にはない、暗殺してしまえば、もう仕事を果たしたことになる。
これが本来の用事だったのか、と思い当たる。
「……やはりですか」
「ああ」
複数成分の中で、心臓発作をおこさせる作用がある。
凉花の見立て通りだ。
「薬の出所は今調査中だ」
「お好きにどうぞ。私には関係のないことです」
出所がわかれば、暗殺対象者として間接的に知ることになる。
そう考えた凉花はお弁当に手をつけた。
やっと味わうことができる。
「それと」
同じく食事を
他に思い当たる用事がなくて、凉花は顔を上げる。
佳入の表情はいつもと変わらない。
「次の休日はいつだ?でかけよう」
「……はい?」
「休日なんてないですよ」と言い切った凉花を佳入は逃がしはしなかった。
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