力の固形

@whitelight73

第1話

街には深海の水圧の塗装が施された壁が多くある。

多くの家庭では朝食でバターなどが付着しないように浮力や反重力原理を用いたナイフが普及して久しい。

ホームセンターには摩擦係数を高めるという題目の接着剤が売り物。

自然災害は例えば津波は精巧な弾性機能を持ったテトラポットによって波は打ち消されるか、向こう側に行ってしまうし、台風は人工重力場によって一瞬で消される。

十分に発達した科学は魔法と区別が付かないという地球の有名な言葉があるが、まるで因果を逆転させたか、それを自由自在に操っていると言っても過言では無い。

ここに履き物がある。当該の物体は粘性が高い、それもこれまでとは次元が異なる程の。試しに実行した方が理解し易い、こっそりある高齢の農夫の玄関に忍び込ませる。人工物には効果は無い。だがお年寄りであろうと簡単に履物の役割を果たせる一品を仕立ててあげた。

どうやら、「む、やけに様子がおかしいぞ」とお年寄りは言った。それもそのはず、履物は接地した地面を巻き込む要領でそれを一体化する。すぐに並の山の標高を越えうなぎのぼりの注目の高さも標高のそれとなった。

しかしこれでは回りくどい。物理現象を制御出来る文明の種族を屈服させるにしては貧弱な手段だ。私は隣の部屋の会議室に行って作戦を練ってもらった。


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