第6話 罪と余韻
雨音は小降りになっていた。
けれど部屋の中には、まだ熱の残り香が漂っていた。
布団の上、乱れたシーツと重なり合った影が、その証だった。
私は荒い呼吸を整えながら、隣に横たわる翔太の顔を見た。
まだ少年の面影を残すのに、いま私を激しく貫いたのは確かに“男”だった。
その事実に、胸が甘く痺れる。
「……大丈夫ですか」
息を弾ませた声が闇に落ちる。
私は小さく頷き、けれど目を逸らした。
──私は、何をしたのだろう。
娘の元同級生を、しかも彩花が眠っていた布団の上で。
罪悪感が押し寄せるたび、胸の奥が冷たくなる。
けれど同時に、身体の芯にはまだ熱が残っていた。
夫との夜では決して満たされなかった部分が、今もじんじんと疼き、翔太の体温を求め続けている。
「白石さん……」
呼ばれただけで、胸の奥が跳ねる。
名前ではなく、母親としての呼び方。
けれど、その響きがなぜか甘くて仕方がなかった。
「……もう、帰れないわね」
そう呟くと、翔太は驚いたように私を見つめ、やがて小さく頷いた。
外ではまだ雨が降っている。
私の心にも、後戻りのできない雨が静かに降り始めていた。
──罪悪感に震えながらも、私はもう知ってしまった。
一度触れてしまったこの熱を、二度と手放せない。
それは愛なのか、欲望なのか。
答えはまだ分からない。
けれど確かに芽生えてしまった。
“また欲しい”という、抗えない渇きが。
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