第2話 VSお母さん&私
「ちょっと、これ、落ちる!!」
「出る場所は選べないんですかね?絶対失敗だと思います」
私達は空中から放り出されるハプニングに見舞われながらもなんとか並行世界に来ることができた。
並行世界視点
「巴ちゃん、これがオムライスだよ」
「おむらいす?」
「美味しいから食べてみて♪」
「頂きます」
あむっと食べるとその美味しさに感動した。
包んでいる卵が美味しくて、中身のけちゃっぷらいす?というものも凄く美味しい。パクパク食べると葵ちゃんが小動物を見るような目で見つめてきた
「デパートで買ったやつだけど、口にあって良かった〜」
「すっごく美味しいよ、また食べたい!」
「じゃあ、今度は頑張って手作りのやつをあげようかな〜」
「葵ちゃんの手作り!?食べたい!!」
お母さんがコホン、と咳払いした
「お取り込み中悪いが、珍しい客が来たようだぞ」
「珍しいお客さん?」
「まさか、やつらの・・」
場が緊張に包まれる
「ああ、いや、やつらの仲間じゃない。だが、これは人の気配ではないな。私達に近い存在だ。神とまでは行かないが・・」
「人ならざるもの・・」
ピンポーン、と、チャイムの音が聞こえた
「開けてやれ、敵意は無さそうだ。念の為、警戒は解くなよ」
「分かった」
ドアを開けると高校生くらいの女の子と着物を着たイケメンなお兄さんが立っていた
「どちら様ですか?」
「初めまして、私は近藤詩音です。こっちは時田さん」
お兄さんもペコリとお辞儀する
「初めまして」
「初めまして、葵です。何か用事ですか?」
「実は私達、並行世界から西園寺蒼月を倒すために来ました。その話を聞いてもらいたくて・・」
「並行世界!?・・蒼月を倒す!?」
お母さんが珍しいものをみる目でお客さんを見つめた
「人間ではないと思ったが・・気になるな、良いよ、話を聞こう」
「お母さんがそう言うなら・・上がって下さい」
「ありがとうございます」
「お邪魔します」
*****
「へぇ、じゃあ、妖怪の世界から来たんですね」
「そうなんです」
私達は紅茶を飲みながら2人の話を聞いている
「私は晴らせぬ恨みを晴らしたり、悪を制裁するのが仕事で。西園寺蒼月を倒してこの世界を救うことに協力させて欲しいんです!」
私は思い切り困惑した
「ーー確かに、おっしゃる通り、西園寺蒼月は人々を邪鬼に変えて戦争を起こし、この国や世界を滅ぼそうとしています。ですが、そんな危険な戦いにあなた方を巻き込むわけには・・」
詩音ちゃんはティーカップを置き、ガタンと立ち上がった
「他人事じゃないんです。人々が苦しむのを黙って見過ごすわけには行きません」
様子を見ていたお母さんが口を開いた
「仮に協力するとして、お前たちに蒼月を倒す力があるのか?やつは手強いぞ」
「修羅場は何度もくぐって来ました。必ず、お役に立てるはずです」
「ーーそこまで言うなら、実力を示してみせろ。やつを倒せるほどの実力を」
「ーー分かりました。表で勝負しましょう」
詩音視点
「詩音、大丈夫?あの人たち、相当強いよ」
「大丈夫、勝算はあるよ」
並行世界視点
「準備は良いか?」
「大丈夫です、お願いします!」
「では、始めるぞ。澪、演舞を」
詩音視点
「詩音、あの人たちは結界で守られているから煙管は効かない。最初から切り札で行こう」
「くっちゃん、分かった」
並行世界視点
見たところは普通の人間なんだよなぁ〜死んじゃわないかな?
「澪、余計なことは考えるな。この者たち、かなりできるぞ」
「お母さん、分かった」
演舞を舞い始めーーその動きはすぐに止まった
詩音視点
「くっちゃん!」
「分かった!」
後ろを向いてバンダナを取る
「か〜ごめ、かごめ〜」
くっちゃんのこの歌を聴いたものは例え神であれ麻痺して動けなくなる
「舞が止まった!!」
「聴覚までは遮断できないんだね、僕たちの勝利だ」
「うん!」
並行世界視点
「澪、大丈夫か?」
「うん、平気。怪我はないけど身体が痺れて動けない」
「すみません、その痺れはしばらくすれば治りますから」
「麻痺させる歌声か・・こいつは強力だな。そしてその後頭部の口、二口女、か・・・」
「正解です。くっちゃんって言います!ちなみに時田さんは九尾の狐です」
時田さんが尻尾と耳を出してみせた
「妖狐なんですね!?仲良くして下さい!」
「ふふっ、これからよろしくお願いします」
お母さんが手をパンッと叩いた
「腕試しは終了だ。後はお互いの技を情報交換して作戦を立てよう」
「「「「はい!」」」」
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