もう一度恋に落ちる

安野潔

もう一度恋に落ちる

 生まれて初めて声に一目惚れをした。

 透き通っていて聞き取りやすい安定した声をした彼女は、突如として僕の前に現れた。

 知らない人と繋がる通話アプリを始めて一カ月が経っていた。だんだんと枠を立てることにも慣れ、入ってくる人も増えてきた頃のことだった。


『もしもし』


「も……もしもし、こんばんは」


 時刻はすでに零時を過ぎている。大学終わりにバイトをし、夕食や風呂など全て済ませるといつもこの時間になってしまう。

 いつもなら枠を立てるとすぐにフォロワーさんが入ってきて会話が始まるのだが、今日に限って誰もいないみたいで、通話画面のまま他事をしていた。


『初めてなんですけど、お話してもよろしいですか?』


 丁寧な物言いに、僕は戸惑った。


「え……あ、はい、いいですよ」

 とは言ったものの、新規の人が入ってくるのは最近では珍しく、どのような会話をすれば良いのかがわからない。


 僕は通話画面から彼女のプロフィールに飛んだ。

 名前は「海」で年齢は僕と同じらしい。出身地は書かれておらず、自己紹介の欄には「海綺麗」とだけ書いてあった。アイコンには海を眺める女性の後ろ姿が写っている。どこかで見たような光景だが、直近に海を眺める後ろ姿をアイコンに使用している人を見かけて、それと勘違いしているだけかもしれない。


「海……さんですか?」


『はい、海です』

 彼女がスマホの奥で『フフフ』と笑う。この時点ですでに僕は声に一目惚れをしていた。


「海が好きなんですか?」


『そうですね、毎日、海見てます』


「そんなに好きなんですか……ぶっちゃけ、飽きません?」


『飽きないですよー』

 そう言ってまた彼女は笑う。


「そうなんですね。不思議だなー」


『不思議?』


「うん、僕だったらすぐ飽きますね」


『へぇーそうなんだ』

 だんだんとタメ口が混ざってきて、僕はその声を一言も漏らさないように耳を傾ける。


「毎日海を見てるんだったら、海の近くに住んでるんですか?」


『……秘密です』


「秘密ですか……まぁそうですよね、わざわざ出身地を明かす必要も無いですからね」


『そうだよ、これから変なこと言ったら通報するね』


「はい……わかりました」

 なぜか主導権は彼女にあるみたいで、僕はそれに従うしかこの会話を続ける方法は無いらしい。


 それからはお互いに自分のことを上手く隠しながら話した。もちろん隠す必要のない趣味の話は大いに盛り上がった。

 彼女の趣味はやはり海を見ることだった。海を見るためなら遠出もするらしく、海を見に行った中で一番遠かったのは北海道だと言っていた。それも去年の夏休みに行ったらしく、バイトを頑張ったという話をしていた。


『そろそろ眠くなってきちゃった』

 彼女が言う。どうやらあくびをしているらしい。


「でしたら、今日はここまでにしておきましょう。二時間も話してたみたいですよ」

 僕は通話時間を見る。表示は二時間を超えていた。そのまま時計に視線を移すと、それも二時を過ぎていた。


『そりゃ眠くなるわけだ』

 彼女はもう一度あくびをする。


『おやすみなさい』


「おやすみなさい」

 そう言って僕らの最初の会話は終わりを告げた。



 翌日、僕は朝から大学にいた。理由はもちろん授業を受けるためだ。

 月曜日の一限は身体が重い。それにこの授業は友人が一人もいない授業で、ただただ退屈でしかない。


 しかし、最近になって少し楽しみができた。

 僕がこの授業でいつも座る席は、真ん中の通路が目の前にある長机の一番左端なのだが、最近になって僕の座っている席の三つ右の席に一人の女性が座るようになった。

 背はおそらく僕よりも十センチほど小さく、髪は黒髪のボブで、服装は清楚系と言われるであろう類の服をよく着ていた。髪の隙間から横顔を盗み見ることしかできないが、端正な顔立ちをしているのが見て取れる。


 僕の楽しみとは、その彼女を観察することだった。

 この授業が始まってすでに七回目だが、彼女に気づいたのは五回目のことだった。

 月曜の一限目とあって参加人数が少ない授業であるため、皆席もまばらに好きな場所に座っている。つまり同じ長机の席に被ることなく座っているのだ。

 それなのに彼女は毎回僕の三つ隣の席に座る。ただ単に僕の座っている席が彼女の特等席で、それを僕が奪ってしまったために、仕方なくその席の近くに座っているのかもしれない。

 いや、そんなことはどうでもいいのだ。僕は授業に集中することにした。



「その子、おまえのこと好きなんじゃね?」

 昼休みに合流した友人に、一限の彼女について相談してみた結果がこれだ。


「そんなんじゃないでしょ」

 僕は言う。


「でもどこでも空いてる席でわざわざおまえの隣に座るか?」


「正確には俺の隣じゃないけどね」


「わかってんよ……てかおまえはどうなのよ?」

 友人が身を乗り出してくる。


「どうって?」


「その子のこと、好きなのか?」


「は?」

 僕の頭は真っ白になる。こいつ、何を言っているんだ。


「だから、好きなのか?」

 友人はもう一度繰り返す。いや、言葉の意味は理解はできてるんだよ。


「いやいやいや、好きなわけないよ」

 僕は右手を左右に振って答えた。


「なーんだ、つまんねぇの」

 友人は明らかにつまらなさそうな顔を見せていた。


 その夜、また僕は通話アプリに手を伸ばしていた。またあの彼女に会えるかもしれないという期待を胸に通話の枠を立てた。


『もしもし』

 相手待ちの間に大学の課題をしていたとき、聞きなじみのある声が聞こえてきた。通話画面を見ると、昨日の彼女だった。


「もしもし、今日も来たんですね」


『来ちゃダメですか?』


「そんなことはないですよ。二日続けて来てくれるとは思ってなかったから」


『だってたまたま見つけちゃったんだもん』


「見つけてくれてありがとうございます」


『もう、そんなかしこまらないでいいからさ』

 どちらが枠主なのだろうかという疑問を抱きながら、僕は少し笑った。

 それから僕は、今日あったことを話した。


『それ、絶対君のこと好きじゃん』

 昼の友人と同じことを言う彼女に、僕は思わず噴き出した。


『どうしたの?』


「いや……昼にも同じこと言われたなって思って」


『だってその子絶対好きだもん、君のこと』


「まさか……でも、貴重な異性の意見として受け取っておくよ」


『話しかけてみたら? その女の子も自分に話しかけてほしくて意図的に近くに座ってると思うよ』


「どうして? だったら話しかけてきたらいいじゃん」


『全く……確かに自分から話しかけて仲良くなれる人もいるけど、自分から話しかけに行く勇気がない子もいるの』


「そういうことなのね……」


『君、女の子のこと何も知らないんだね……あ、今まで彼女とかいなかったの?』


「彼女くらいいたよ……」


『今は?』


「え? いないよ。てかいたらこのアプリやってないよ」


『あ、さては君、出会い目的だな?』


「別にそんなんで始めたわけじゃないけど……でもこのアプリが出会いを禁止してるわけじゃないし」


『確かにね……ふーん、いないんだ……』


「いないですけど?」


『今彼女ほしいの?』


「うーん……いれば大学生活も楽しくなると思うけど……」


『思うけど?』


「別にいなくてもいい……って感じかな」


『どっちなの? てか今まで何人と付き合ったことあるの?』


「一人だけだけど……」


『今何歳だっけ?』


「二十歳……」


『彼女いたのは何年前?』


「高二の頃だから……三年前くらいかな。すぐ別れたけど」


『そうなんだ。なんで別れたの?』


「彼女が転校するからって……」


『何その理由、笑っちゃうんだけど!』

 彼女はハハハと笑い出した。


「そうだよね……」


『別にスマホぐらいあるでしょ! いつでも連絡取れるじゃん!』

 だんだんと彼女の笑い声が大きくなっていく。


「確かにそうだね……でも、これから先一緒にいられなくなるから別れを選ぶしかなかったんだろうね……」

 僕の言葉で、彼女の笑い声が止まった。


『……確かに、私も会えなくなるくらいなら別れたほうがいいって思っちゃう』

 少しの沈黙が流れる。


『もし……その子に会えるとしたら、また会いたい?』

 彼女が沈黙を破る。先ほどの笑い声が嘘みたいな真面目な口調だった。


「そうだなぁ……会えたらなとは思うけど……」


『会えたらいいね』

 会話はそこで止まった。そして昨日と同様「おやすみなさい」で通話を終えた。



 通話を終え、僕の脳裏に元カノの顔が思い出される。しかし輪郭以外は全部ぼんやりとしかわからなかった。はっきり思い出そうとスマホの写真を見返すが、前に使っていたスマホが壊れ全てのデータが消えてしまい、今のスマホにデータを引き継げなかったために過去の情報が一つもないことを思い出した。

 今度は卒業アルバムを手に取る。二年生のときに行った校外学習の写真を開く。しかし、彼女は当日欠席したという記憶が蘇ってきた。つまり僕の周りには彼女が存在したという記録が全くないのだった。

 彼女の面影が残っている可能性があるとしたら実家に置いてきた写真だ。

 僕は高校時代写真を撮ることが趣味だった。風景、人物問わず撮っていた僕はそれを印刷してアルバムを作っていた。よし、明日授業をサボって実家に帰ってみよう。そう思い、僕は夢の中へと入っていった。


 僕の実家は電車で約二時間ほどのところにある。玄関の扉を開け「ただいまー」と声をかけると、奥から母親が驚いた様子で出てきた。


「あんた、どうしたの?」


「いやー、ちょっとね」

 そう言って靴を脱ぐ。父親は仕事中で家にいないみたいだった。


「何かあったの?」

 滅多に帰ってこない僕を見ながら、母親は心配そうな声をかけてくる。


「そんなんじゃないよ。ちょっと調べ物に必要なものがあったから取りに来ただけ」

 適当に理由をつけて、僕は自分の部屋に向かった。


 部屋のドアを開けると窓から涼しい風が入ってきた。どうやら母親が定期的に掃除と換気をしてくれているようだった。と言っても、帰省した時用に置いてあるベッドと子供の頃から使っていた勉強机、そして何冊か本が刺さっている本棚が置いてあるだけの簡素な部屋である。僕はその本棚から昔作ったアルバムを取り出した。確か彼女と別れた後も写真はそのままにしていたはずだ。

 作られたアルバムは年数ごとに分かれている。僕は高校時代のアルバムかどうか確認してからページを捲っていく。彼女専用のアルバムではなく、その年に撮った写真を全て収めてあるのでどこに彼女の写真があるかはもう覚えていない。


「あ……」

 やっと見つけた。過去の記憶がどっと頭の中に流れてくる。

 おそらく付き合い始めて最初に撮った写真であろう。校門前で笑顔でピースしている女の子が写っている写真があった。そうだ、この顔だ。

 ページを捲って行くと一枚の写真で手が止まった。この写真、見覚えがある。

 その写真は彼女が海を眺めている写真だった。どこで見たのだろう。


「あれ……」

 あることに思い当たった僕は、スマホを取り出し通話アプリを立ち上げ、「海」さんのプロフィール画像を探した。


「まさか……」

 僕はプロフィール画像とその写真を見比べる。その二枚は全く同じだった。


 するとその時、玄関の方でインターホンが鳴る音が聞こえた。母親がパタパタと玄関へ向かう音が聞こえる。そしてドアを開ける音が聞こえ、母親が「あらまぁ!」と驚いた声を上げた。


「久しぶりねぇ、ちょうど帰ってきたのよ」

 母親が僕を呼ぶ声が聞こえた。僕は部屋を出て玄関へ向かった。


「なんで……?」

 玄関に立っていたのは、先ほど顔を思い出した元カノ「海」さんだった。


「久しぶり」

 彼女はそう言って微笑んだ



 二人で外に出る。

「まさか君だったなんて……」

 僕は言う。


「気付くの遅くない?」


「何年前だと……」


「ひどいなぁもう。声で分からなかったの?」


「電話から聞こえる声って、今聞こえてる声じゃないからね」


「言い訳?」


「じゃないよ、本当のこと。電話で聞こえている声は合成音声だから」


「私はすぐにわかったよ?」


「というか、なんでこのアプリやってんの?」


「えっと……」

 彼女は少し照れて頬をかいた。


「お友達ほしくて……」

 小さな声でつぶやくように言ったが、今の僕は彼女の声をしっかりと拾うことができた。


「なんだそりゃ」

 僕は笑った。


「でもそっちだってやってるじゃん!」


「僕はそんな友達とか求めてるわけじゃないから」


「じゃあなんでやってるの?」


「彼女できたらいいなぁ……なんて思ったり……なかったり……」

 僕は小声で言う。


「え?」

 彼女は耳に手を当て、僕の顔に近づけた。


「彼女できたらいいなって言ったんだよ」


「やっぱり出会い目的じゃん!」

 そう言って彼女は笑い出す。その顔を見て、懐かしい思い出がだんだんと蘇ってきた。

 今歩いているのは海沿いへ出る道だ。付き合っているときに何度も歩いたことがある。彼女はこの先に海が見えてくる瞬間が好きだと言っていた。


「あ! 海だよ海!」

 ちょうど懐古していると、彼女がはしゃいだ声を出した。僕が顔を前に向けると、道路の先に海が見えてきた。彼女のはしゃぎようも昔と変わらないようだ。


「本当に海好きなんだね」


「そういえば私が海好きな理由、言ってなかったっけ?」


「確かに聞いたことなかったかも……」

 付き合っていた際も海が好きだとは言っていたが、その理由を聞いたことはなかった。


「私さ、中学校の頃にこっちに転校してきたの」


「そういえばそうだったね」

 彼女は中学二年生のときに僕の地元へ転校してきたと聞いたことがある。


「転校してきてから、なかなかクラスに馴染めずに学校行くの嫌だなって思ってた時に、ふと海を見に行きたくなって見に行ったの。そのときに見た海がすごい綺麗でね。今の悩みなんてどうでもいいなって思えたの」


「いい理由じゃん」


「まだ続きがあるの」

 そう言って、彼女はまた話し始めた。


「その海を見てたら、なんだか歌いたくなっちゃって、そのとき大好きだった歌を口ずさんでたら、同い年くらいの男の子が声をかけてきたの」


「え……」


「その子がね、『君すごい歌うまいね』って言ってくれて……でもその子は学校遅刻しちゃうからって、それだけ言って走って行っちゃったんだけど……」


「それって……」

 その記憶は、僕の方にもあった。ある日、寝坊して学校に遅刻したとき、海沿いで同い年くらいの女の子が小さな声で歌を歌っていた。その声を聞いて僕は思わずその子に話しかけてしまった。しかしすぐに学校へ行かなければと思い出して、それだけ伝えてその場を立ち去ってしまった。


「でもね、高校でその男の子に会えたのはすごい嬉しかったんだけど……君は覚えてなかったみたいだね」


「今思い出したよ……」


「今じゃ遅いよ」


「そうか……あの子が君だったのか……」


「私たちって、何度も会う運命だったんだね……」


「そうかな……」


「そうだよ、中学時代にも会ってたけど、高校で一緒になれたけど私が転校しちゃったから離れ離れになったけど、今こうして再会できたんだから……それに、大学も一緒だし」


「え?」


「気づかなかった? 月曜一限の隣に座る女の子、私だよ?」


「え?」

 僕は理解が追い付かず、もう一度口をポカンとさせて言った。


「いつ気が付くかなって思ってたんだけど、全然気づかないんだもん。そしたら昨日その話題が出てきてさ、笑いをこらえるの必死だったんだから!」

 そう言って彼女は僕の肩をバシバシと叩きながら笑った。


「そういえば、昨日昔の彼女の話になって、彼女と別れた理由聞いて笑ってたのは……何だったの?」


「ああ、あれね、我ながらバカみたいな理由で別れたなって思って、思わず笑っちゃった」


「バカみたいって……」


「あの頃は私も子どもだったってことかな……毎日会えなくなるし、遠距離は絶対寂しくなるから別れた方がいいって考えちゃって……今でも後悔してるし、君に申し訳ないことしたなって思う」


「そんなこと言わなくても、今こうしてまた再会できたんだからいいんだよ」


「それもそうだね」

 そう言ってまた彼女は笑った。


「見て! 海だよ!」

 彼女が前方に視線を向けて言う。そこにはいつもと変わらない海があった。


「やっぱり綺麗だね!」

 道路から砂浜へ続く階段を下りながら彼女は言う。

 五月の海は春の日差しに照らされてキラキラと輝いていた。そして僕の視界にはその海とともに春の装いをした彼女がいた。


「やっぱりここに来ると歌いたくなっちゃうなー」

 そう言って彼女は歌を歌い始めた。それは僕たちが最初に会ったときに聞いた歌だった。

 透き通っていて聞き取りやすい声で歌う彼女を見て、僕はようやく自分の思いに気づいた。


 彼女のことが好きだということに。


 今まで忘れようとしていたのに、忘れていたのに。実際に彼女に会うとその思いが溢れてくる。どうやら僕は最初に声を聴いたときからずっと彼女に恋をしていたみたいだ。


「ねぇ、僕たち……」


「私たち、やり直してみない?」

 僕が言いたかった言葉を先に言われてしまった。


「やっぱり君が好き。こうやって再会できたのも運命だと思う。だから……」


「僕も今同じことを言おうとしたんだけど……」

 彼女の顔がみるみるうちに驚いた表情になる。僕は少し照れ臭くなって頬をかいた。


「本当に?」


「本当だよ」

 僕は真剣な顔つきで言った。相当嬉しかったらしく、彼女の顔がだんだんとにやけてくる。


「嬉しい! これからよろしくね!」

 彼女はそう言って、僕に飛びかかってきた。僕は後ろに倒れないように彼女を受け止める。そういえば彼女は自分の感情を素直に表現する人だったなと、また懐かしい思い出が蘇ってきた。



 それから僕たちは手を繋ぎながら来た道を僕の家へと戻った。


「そういえばあのとき、私のどこを好きになったの?」

 彼女が唐突に聞いてきた。高校時代は僕から告白しているのだが、どこが好きだなんて聞かれたこともなかった。おそらく彼女も僕が好きだったから付き合えただけで舞い上がり聞くのを忘れていたのだろう。


「声かな……」

 僕は真剣に悩んで答えた。


「声?」


「うん。君の声は透き通ってる感じがするんだ」


「じゃあもしかして、最初に会ったときに「歌うまい」って言ったのも、声に惹かれたから?」


「そう考えてみると、そうかもね」


「声フェチなの?」


「そう言われるとなんか違う気がするけど……そうなのかな?」

 そう言って僕たちは笑った。


「じゃあこの先もずっと私の声を隣で聞けるといいね」


「それは大丈夫でしょ」


「おや? それはずっと私と一緒にいてくれるってことですか?」


「そうだよ」

 だんだんと自分の頬が熱くなっていく。見れば彼女の方も顔を赤くしていた。その顔を見ていると幸せが溢れてくるようだった。

 ああ、この先も君とずっと一緒にいられますように。僕はそう願った。

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