サッカー版ワンナウツ






弱小プロクラブ「ユグドラFC」入団テストより


観察するように無表情でゴール前に立つ、フリーター風の男。

GK希望、結城凛久。


構えるわけでもない。声も出さない。ただ、黙って立っている。

当然、選手たちはざわつく。



「……なあ、あいつ、やる気あんのか?」


「監督、テスト受けさせんの? 本気で?」


監督も苦笑しながら答える。


「まあいい、やってみろ。PKで実力見よう。10人蹴れ」


選手たちは笑いながらボールを置く。



だが、異変はすぐに起きた。


最初の一人が助走に入った瞬間、凛久が動いた。

完璧なタイミングで、完璧なコースへ飛ぶ。


――止めた。


二人目。

三人目。

四人目。


止めた。止めた。止めた。


会場の空気が凍りつく。

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アイデアの墓地 夜道に桜 @kakuyomisyosinnsya

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