第4話 生活環境も確認しよう
テオドルに俺という新しい人格が融合してから、情報過多すぎて頭がパンクしそうだ。
とりあえず、テオくんを取り巻いていたかもしれない不穏なあれこれについては情報収集という手を打ったので、あとはうまくいくことを願うのみ。
自分自身については、命に関わりがありそうな物は取り除いたので、あとはゆっくり確認すればよし。
そうなると直近の問題としては、衣食住。
住に関しては、父親が郊外の家を用意してくれたのでOK。すぐに追い出されることはないでしょう。
衣に関しては、着ている服は商家の子息が着ていそうなレベルの服なのでOK。丈夫だろうし。
あとは、食に関してかぁ。
「イルカクン、まずは住居内を見て回ろう」
『建物内は鑑定済です。他の生物や危険物、悪質な魔道具は見当たりませんでした』
・・・いや、そうだけど、そうじゃないのよ。
でもまぁ、ありがとね。そういうの、重要だものね。
では、気を取り直して〜。
はい、トイレ〜。
こっちは、寝室〜。
んで、最初にいたのは、キッチン付きダイニング〜。
建物探検はすぐに終わってしまった。
ま。こんなもんか。一人暮らしだもん十分っしょ。
寝室はシングルベッド二つ。スプリングはないけど、ベッドで眠れるだけマシだよね。
お、小さいタンスにいくつか服の用意がある。良いね良いね。でも大きすぎて着れないかも。
んで、寝室には身支度用の小さな鏡がある。そしてそれに映る俺。
え?俺??
・・・嘘だろ。これが俺かよ。
父親譲りの黄金に輝く髪、母親譲りのぱっちりお目目は紫の瞳、毛穴など見当たらない白い肌にピンクの頬。
ちょっと釣り上がった眉に我儘小僧の面影があるけど、少年と青年の間って感じのアンバランスさが、神秘的感じを醸し出しているっていう。
そういやまだ17歳か。継続的魔力不足で肌色が悪くて髪も艶感が落ちているけど、王子をやっていた時はみっちり手入れされていたからパサついているわけではないし。
もったいないな〜。体調の悪さや性格が、全てをだめに見せていたのかな。
ま、変なオジジに売られなくて良かったよかった。
よし。いつまでもイルカクンにno nameと呼ばれるのも変なので、この容姿に似合う名前をつけよう。
俺の記憶が混じる前と同じくテオドルって名乗ろうかと思っていたけど、男くさい名前は似合わないし、新しく人生やり直すってことで心機一転したいしね。
中世的な名前がいいかな・・・
う〜ん。
髪色と眼の色からつけるかな。ゴールドとパープル。
ルドプー、プルル、ルコ、ルコル・・・
よし!
「イルカクン、僕の名前の設定をお願い。リコルだよ!」
『了解しました。リコルに設定しました。・・・僕?』
「うん。この容姿に俺って似合わないよね。僕っていうことにした!あと話し方もなんかこう、良い感じにやってみる!」
『・・・よく分かりません』
「うん。だよね。別に良いさ〜」
ではでは、改めて。
テオドル改めリコルだよ!17歳だよ!廃嫡されちゃってエーンだけど負けないもん。意地悪な人にメッってするんだから!頑張るぞっ☆
『リコルより、邪悪な気配を確認しました』
「うおぉ〜い!良いツッコミ!!確かに自分でやっていてもキモかったけども!」
『・・・意味がわかりません』
「ん。ま、リコルは生まれたてで分からないことだらけだから、イルカクンが頼りってこと。よろしくね。」
『はい。よろしくお願いします』
そういえばダイニングのテーブルに皮袋が置いてあったな。
イルカクンチェックではこの家に危険物はないみたいだし、見てみよ〜っと。一気にオープン!
あ、金貨。
皮袋を開けた状態で見ても100枚はありそう。え?これっていくら??
100万円くらい?1000万円?1億円ってことはないよね。
あ〜、テオくん情報でも金銭関係の記憶はないや。買い物なんてしたことないものね。参ったなぁ。
王子の退職金として多いのかなんなのか。
ま、貰えないよりいいか。私物も持ってこられなかったし、ありがたく貰っとこう。
キッチンには、鍋やフライパン、包丁などの料理道具や調味料や木製の食器があった。
パンや野菜などの食材は少し。ナマモノだしね。
買い出しに行って貨幣価値も調べないとな。
そういえば、風呂がないな。洗濯とかも、どこで洗うのよ。
不潔はやだなぁ。
シャワーを浴びてスッキリしたい〜。
汚れ物は洗濯機で洗濯したい〜。
ピコッ
『現代技術魔法にてシャワーおよび洗濯を行いました。この世界のスキルに変換。浄化を取得しました』
浄化?おお!なんかスッキリした!!
え、こんなに簡単に使えるの?仕組みがよくわからないんだけど・・・。
ともかくこれで、ぐっすり眠れそう。いろいろあって疲れたし、今日はこのまま寝ちゃおっかな。
それでは本日はこの辺で。
おやすみ〜。
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