【記録資料】
【概要】
匿名SNS(通称:X/旧Twitter)において、個人アカウントが「赤い祠」を発見したとする実況的投稿を行い、短時間で異常な展開を示した事例について報告する。
当該アカウントは突如更新を停止し、以降の所在は確認されていない。リプライ欄には通常の反応に混じって、祠を示唆する不審アカウントの介入が確認されている。
【詳細記録】
発端は「@sana_05」を名乗る利用者が23時台に投稿した「帰り道で赤い祠を見つけた」との書き込みであった。
当初は友人と思しきアカウント(@mio_cat、@kuro_n)が軽い反応を返していたが、投稿の進行に従い以下の異常が確認された。
投稿者のスマートフォンに「撮影していない祠の写真」が保存される。
投稿者名義で自動的に「赤い祠を見た」という文言の投稿が行われる。
リプライ欄に「@襍、縺?・?」という名称の存在不明アカウントが出現し、「見てはならぬ」「迎えの火を消せ」等の文言を残す。
投稿者は帰宅後も自宅窓外に祠を目撃したと報告、直後に「ドアの向こうに赤い屋根の影がある」「足音が」と実況。これを最後に更新が途絶えた。
当該アカウントはその後凍結処理がなされたが、キャッシュや転載により断片的記録が残存している。
リプライを行っていた友人アカウントのうち1件が同時刻を境に活動を停止。もう1件も「祠」に関する発言を繰り返したのち休眠状態となっている。
【所見】
本件は、SNSを介して拡散・侵入する新種の現象と推測される。
「赤い祠」自体は従来より第五地区周辺における目撃証言が散見されており、今回の投稿群はその禁忌「見てはならぬ」(赤い祠を発見する)「名を呼ぶなかれ」(SNSに赤い祠の名をあげる)「迎えの火を消せ」(怪異が発生したが電気を消さなかった)に触れた結果として発現した可能性が高い。
加えて、不明アカウント「@襍、縺?・?」は人為的操作の痕跡がなく、発信源も特定不能であることから、既知の通信インフラを媒介とした怪異的干渉が強く疑われる。
【備考】
本件の記録は一部流出しており、閲覧した市民から不安の声が寄せられている。
今後はSNS上で同様の表現を検出した場合、即時通報および投稿削除を行う体制が必要である。
本報告書は内部資料扱いとし、外部公開を固く禁ずる。
【市民生活課特別資料-●●市特別封緘記録3-】 ●●市役所市民生活課 @shimin_seikatsuka
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