Only a Prologue ~始まりだけが、まだ息をしている~
🕰️イニシ原
終わりからはじまったプロローグ
『みつは』さん、今、君の日記を見ています。
君が僕と出会って60年。毎日、書いていましたね。
僕には真似できないよ。君は本当に、努力家だね。
でも「絶対見ないでよね!」そう言われた、約束を破ります。
そうでもしないと、君がいない事に耐えきれない。
そんな、弱い僕がいたからです。
そう、出会ったのは――あいつの紹介だった。
僕の大学の同期、『まなぶ』に連れられて行ったあのイベント。
初めて君を見たのは、あの場所だったね。
「ははは」
僕の第一印象、そんなに悪かったんだね。
君はずっと笑顔だったから、わからなかったよ。
でも、その時には、僕はもう君の虜だったから、真剣だったんだ。
「え?」
君は表情にあまり感情を出さないと思っていたけど、
内面ではこんな情熱的だったんだね……。
最初に書いた日記を度々見返して書き足しているんだね。
何十回も……。
僕は……僕が死んだ後は何も残す必要はないと思っていたけど、
このたくさんの日記も……家も……
一緒に過ごした町も――残したくなったよ。
もう、器用には動けないけど、
君の日記を読んでいると、目の前でその時起ったことが鮮やかに蘇るよ。
そう、あの時に気づけなかった事とかもね……。
だから僕はここで、彼たちに助けてもらおう。
君は若い時から「お金なんていらないよ」なんて言うものだから、
寄付をしようと思っていた財産はたくさんあるからさ。
……『みつは』……僕のせいかな?この世界が滅びるのは。
ふふ……この歳で僕の驕りがなくなったみたいだよ。
君のおかげでね……ちゃんと聞こえるよ……
だから『みつは』……もう一度挑んでみるよ。
君が好きなこの世界を守るために。
僕たちの親友だった――魔王となった『つかさ』にさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます