45. 違法闘技場 - 爆発令嬢

 セーラが景気よく爆発させたものだから、屋根の破片が降り注ぐ。

 それを、ロペス卿が風で防いでくれた。


 セーラは、魔物モンスターの背にまたがって現れた。

 鷲の頭と馬の体、そして大きな翼を持つ堂々たる姿――あれは気高き鷲馬グレイト・フィッツホーンで合ってるよね?

「セーラ、その魔物は?」

「こちらの淑女は、ソナ。わたくしの心の友ですわ」

「お、おぅ……」

 なんか、色々すっ飛ばして結論だけ答えてくれたんだけど。

 要するに、今は仲間ってことでいいんだよな?


「ひぃっ、化け物!? 食われる……!」

 気高き鷲馬グレイト・フィッツホーンに睨まれ、逃げ出そうとした警備兵の尻を、セーラの放った光の矢がかすめる。たちまち火がついて、警備兵は慌てふためき、どろどろの雪に尻を押し当てて消火した。

 セーラは、まるで雪の妖精みたいにツンと冷たいまなざしで、その様子を見下ろしていた。


「彼女は気高い生き物です。あなたのように、地をはいずる生き物など食しませんわ」

 子育て期以外、休むことなく空を飛ぶ天空の王者。

 本来、翼を持つ生き物しか狙わず、地下牢でかろうじてコウモリを食べて生き延びたのだそうだ。


 だけど、なんでセーラがそんなことを知ってるんだ?

 教えてくれそうな人といえば……。


「女同士って怖いなぁ。すぐ意気投合しちゃって。おっさんのおいてけぼり感がすごいよ」

「わぁぁぁっ!」


 悲鳴を上げた俺を、情けないやつだと思わないでもらいたい。


 にゅっと。

 おっさんの生首が……煙突から生えてきた。もっとふつうに出てきてよ。



 ここからは、おっさんに聞いた話だ。

 俺が契約石パクトストーンを見つけた後、おっさんは気高き鷲馬グレイト・フィッツホーン……ソナさんと示し合わせて、ソナさんは倒されたふりをする。血しぶきは、カレナの幻影魔法携行版、ということだ。


 すると、俺とグルだったことがバレたセーラがピンチになる。

 おっさんが駆けつけるより早く、鎖から自由になったソナさんが羽ばたき、セーラのところへ駆けつけて警備兵を蹴散らした。

 おっさんからソナさんの事情を聞いたセーラは、いたく感激。ソナさんも、魔物モンスターみ嫌うのではなく、対等の存在として交渉を持ちかけた人間たちを気に入った。女性たちはきつく抱擁ほうようを交わし、空を翔けて俺のピンチに駆けつけた……のだそうだ。


 うん、女同士って、怖いね。


「それで俺は、出会った警備兵を気絶させながら、中から登ってくるルートを選んだんだけど……俺は必要なかった気がするなぁ」

 煙突から出した首を巡らせて、おっさんが現状を見渡す。


 抵抗する警備兵と魔導士は、セーラが矢を射かけ、ロペス卿が風を操って制止している。

 正直なところ、俺たちが手伝う隙がない。


 あちこちで爆発するセーラの矢をぼんやり眺めていると、ロペス卿から冷静な指示が飛んだ。あの独特の仕草で、眼鏡をクイっと押し上げる。

「先ほどの情報提供を忘れていませんか? おふたりで、副支配人の身柄を押さえてください」


「分かった。アレック、下で待ってるぞ」

 しゅっ、と音を立てて、おっさんは煙突の中に消えていった。


 ……男は、度胸だ!

 俺も、思い切って煙突の中へ飛び込んだ。



✦✦✦ Next Ochidan's Time ✦✦✦


隠し通路から逃げ出したい副支配人を、アレックとおっさんが追い詰める!?

ふつうに考えると、地の利があって先に行動している副支配人が有利だと思うのですが、アレックたちに作戦はあるのでしょうか?

予定は、未定。次回をまだ書いていない時の「予告」は、単なる「希望的観測」であることを忘れていはいけません☆彡


追伸:

腰の痛みなど、体調不良にて更新していない週がありました。

待っていてくださった皆さま、ありがとうございます(* ᴗ ᴗ)⁾⁾

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