夢の続き 8月23日

波に攫われた遊歩道が江ノ島にあった…気がする。

富士山に繋がる洞窟まで行く為の遊歩道に、岩場へ降りるための階段があった。

石造りの灯籠が並んでいた。さんどうの様な道は、崖をくり抜いた様なポッカリと空いた穴へと続いていた。そこへポツポツと人が向かっているが、皆顔は見えない。かたわの遊歩道の様に戻る人がいないからだ。

見知った背中を見た気がして、僕はさんどうに降りた。穴まで進むと、更に下に続く階段があった。海の断面を見るほどに下に降りると、奥へと続いていた。昼の光が透けるさんどうを歩いた、今度は上に上がるらしい暗い階段を進んだ。目的は、窪んだ洞穴だったらしい…皆小さな祠にお参りをしている。

僕は、それに倣ってお参りをした。振り返ると階段を降りている姿が見えた、どうやら僕が最後の参拝者だったので急いで穴に向かった。そこには波だった水面があった、どうやら潮が満ちたみたいだった。

急にこの暗がりが怖くなった僕は、壁際で三角座りをした。顔に強く引き寄せてギュッと縮こまった、なんとなく誰かに見られている気がする。祠の近くの更に暗いその先に顔だけが浮かんでいる気がした。

目を開けると、早朝の穏やかな光が部屋を照らしている。朝5時の静かな凛とした空気が、夏の蒸した空気を彩っていた。

「また同じ時間だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る