貴方に愛されたら

@kai97

第1話

強い日差しが顔にあたる。


「んー、」

ゆっくりと目を開け、隣を見る。


「おはよう、玲」

「おはよ、綾」


そう挨拶を交わす。

(なんて幸せな朝なんだ、こうなるなんて3ヶ月前は思わなかったな、、、)


-時は遡り、3ヶ月前-


「いらっしゃいませ」


私の名前は飯塚玲(いいづかれい)。24歳。カラオケで働いているフリーター。

何の変哲もない日々を過ごしている。


「はぁー、疲れたな」

「寝不足?大丈夫?」


同じバイト先の子に心配されている。


「大丈夫。毎日同じでつまらないだけ。」

「そっか。ならいいけど。」


数分後、

「いらっしゃいませ」


そこに立って居たのが、のちに彼女になる東城綾(とうじょうあや)との出会いだった。


でも、出会いは良いとは言えなかった。

彼女は何人かのグループで来ていてかなり酔っ払っていたからだ。

酔っ払いの客はだいたい客層が悪いから好きじゃない。


(はぁー、最悪だな。汚されるのは確定だ。)


「ごゆっくりどうぞ」

何とか受付が終わり、作業していると、


「あの、」

と声を掛けられた。


振り返ると、先程のグループの女性が立っていた。


「はい。何かご用でしょうか?」

そう答えると、


「私、東城綾って言うんですけど、お姉さんに興味があって...名前教えて貰えませんか?」


「...」


びっくりして声が出なかった。

(なんせ自分の見た目は女性っぽくなく、髪も短く、男とよく間違われるから。)


「あの、ダメですか?」

キョトンとされた顔で言われる。


「あー、すみません。名前ですよね?飯塚です。」


「飯塚さん、下の名前も教えてください!」

「玲です。」


「玲さんって呼んでもいいですか?」

「はい。大丈夫です。」


「あっ、あと連絡先を教えて欲しいです!お願いします!」


「えっーと、まだ仕事中で。すみません。」

「何時に終わりますか?」


「6時です。」

「仕事終わったら聞いてもいいですか?」


「分かりました。すみません。仕事に戻らないと、」

「すみません。仕事の邪魔してしまって、、、」

「お仕事頑張ってください!」


(何だったんだ、今の、ナンパされたのか?初めてのこと過ぎて分からない、、、でも、あーいう人は軽そうだから、嫌だな、正直。顔はタイプだけど、、、)


-6時-


「お疲れ様でした!」


(あの人は忘れて帰ってるよね?時間すぎて居ないし、、、)


帰ろうと、扉を出ると、、


「えっ、」

思わず立ち止まってしまった。


(本当にいる、、)


「お仕事お疲れ様です。勝手に待ってました!」


「本気だったんですね、連絡先聞くの」

「はい!聞きたかったので」


(諦めてくれなさそうだしな...教えるか…)


「はい、どうぞ」

連絡先を交換する。


「やったー!ありがとうございます!」

「玲ちゃん、よろしくね!」


(急に、ちゃん付けだし、タメ口だし、軽いな。まぁ、年上そうだからいいけど...)


「はい、お願いします、」


これからどうなっていくんだろう?

ここから自分の人生は東城綾との出会いによって、大きく変わっていく...

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