珊瑚の森で会いましょう
@marumarumarumori
プロローグ
死から始まる物語
昔々、とある世界のある国に一人の少年がおりました。
その少年は幼い頃から重い病に悩まされていて、いつも病院に入院していました。
そのため、彼は学校に行くことが出来たかったのですが.....その代わりに、ある物に夢中になっていました。
それは、少年のお父さんとお母さんが買ってきてくれた異世界を舞台にした本で、特に彼が夢中になって読んでいたのは、異世界に転生してチートスキルなどで無双する....という話ではなく、こことは違う別世界の住人である主人公が様々な世界を冒険する物語で、彼はそれを読むたびにどこかへと旅に出る気分となった後、どこにも行けない寂しさを紛らわせていました。
そんな彼にとって、海は憧れの場所でした。
海は本当にしょっぱいのか?
砂浜にはどんな貝があるのか?
海の家の料理はどんな味なのか?
そんなことを少年は常日頃から頭に浮かべながら、彼は毎日を過ごしていました。
けれども、病気はどんどん少年の体を蝕んでいき....やがて、少年が命の灯火が完全に消えてしまったその時、彼の魂はなぜかあの世に行くどころかこの世とあの世の狭間に迷い込んでしまい、そこで一人の存在と出会いました。
その存在は男でも女でもなく、限りなく広くて限りなく真っ白な世界に何かの作業を行っていたのですが、彼でもなければ彼女でもない存在は一言、少年の魂を見つけるとこう言いました。
「おやおや、これは珍しい」
そう言った後、目の前にいる男でも女でもない存在は少年の魂の方を向くと、緊張させまいとニッコリ笑顔を見せた後、彼に対して優しく声色でこう言った。
「君がここに来たということは.....どうやら星の理を外れたようだね」
その存在は少年に対してそんなことを言うと、自身のことを並行世界の管理人だと伝えた後、この世とあの世の狭間に迷い込んだ少年がどうなるのかを伝えた。
並行世界の管理人によれば、本来ならば死者の魂は星の理に則ってあの世に行くのが当たり前なのだが、時折その理から外れてしまった魂がいるらしく、並行世界の管理人は星の理から外れてしまった魂を転生させているのだと語った。
そして、並行世界の管理人は少年の魂をマジマジと見た後、彼の転生先についてのことをこう提案しました。
「君は異世界に転生したいようだね。でも、出来ればチートスキル等は欲しくないし、ナーロッパ寄りの世界も嫌だと」
並行世界の管理人の言葉に対して、コクコクと少年の魂は頷いた後、思い口を開くようにこう言いました。
「出来れば、海のような世界に転生したい」
その言葉を聞いた並行世界の管理人はしばらく考えた後、何かの端末を操作しながら彼の要望に沿った世界の存在を発見すると、その世界の一部を少年に見せました。
その世界は、海にあるはずの珊瑚礁が陸に生えているだけではなく、水の中にいるはずの魚ですら悠々と空を泳いでいたため、いつか読んだ本の世界がそっくりそのまま広がっているの見た少年は、当然ながら興奮した様子になっていて、この世界に転生したいと並行世界の管理人に伝えました。
それを聞き届けた並行世界の管理人は、彼の願いを叶えるかのようにニコッと笑った後、こう言った。
「君ならきっと、その世界でもやっていけるよ」
そう言った後、並行世界の管理人は少年の魂を光の粒子へと変えると、そのままその世界へと送りました。
少年は光の粒子へと変化していく中、家族の思い出を振り返りながら深い深い眠りに着いたその数分後
「フニャア!!フニャア!!」
少年はその世界に、異世界コラールに生まれた新たな命.....マルジャーフとして転生し、第二の人生を歩むことになったのでした。
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