第2話 ハーブ採取と最初の出会い
森の小道を歩きながら、今日はどんなハーブに出会えるだろうと胸を躍らせる。紫色のラベンダーや、葉先に朝露をまとったミントの間を抜けて進むと、ふと足元に異変を感じた。
「……ん?」
目を凝らすと、倒れている人影。冒険者らしい服装の男性が、うつ伏せで倒れていた。慌てて駆け寄ると、手や腕に擦り傷が見える。痛みで顔をしかめているのか、浅く息をついている。
「大丈夫ですか……!」思わず声をかける。
持っていた布とハーブを取り出す。カモミールとゼラニウムの葉をちぎって軽くすりつぶし、少し水を加えて布に浸す。甘く柔らかい香りが立ち上り、森の空気と混ざってふんわり漂った。
「……ここ、森の香り……落ち着く……」男性が目を細める。香りだけで、緊張していた体が少しずつほぐれるのがわかる。そっと傷口に布を当てると、痛みで強ばっていた肩の力も緩んだようだった。
「助かった……ありがとう」
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。香りが、人を安心させることができるなんて――初めて実感した瞬間だった。
森の光が葉に反射して、彼の表情を柔らかく照らす。私は小さく微笑みながら、手元のハーブの葉を撫でた。香りはただの匂いじゃなく、人の心をほぐす魔法のようだ。
「これ……ハーブティーでも飲みますか?」私が差し出すと、彼は少し驚いた顔をしてから、嬉しそうに頷いた。森の香りとハーブの力で、二人の距離はぐっと近くなった気がした。
本日のハーブ
ハーブ/香り:カモミール、ゼラニウム
効果:鎮静・傷や疲れの癒し(応急処置に使用)
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