《議題1》狸議員による狸のための政治活動についての報告と展望
全日本狸連盟会長
「ええー、昨今の社会情勢を見ますに、我々は生息圏の拡大を続ける人間とますます共存関係を余儀なくされる事態となっております。戦後、法整備を進め、我々狸にとってより良い社会を実現するため、人間の政治活動への参入を開始しましたことは周知の事実かと存じます。そして先日行われました参議院議員選挙において、一名の狸議員が当選いたしましたことをここに祝します」
ここでパチパチと拍手が巻き起こった。
「ありがとうございます。ご投票、ご協力していただいた諸兄諸姉へ、本人に代わり御礼申し上げます。参議院議員に選出されました但馬博一君こと
司会進行役
「それでは続きまして、狸による政治活動に関する要望、質疑応答の時間へ参ります。前もって質問申告書をご提出いただいた方、ご準備をお願いいたします。」
毎分毎秒狸新聞 政治部門所属
「それでは質問を初めさせていただきます。昨今、人間社会において、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) 、いわゆるSDGsが国際目標と定められ、国や地方自治体に限らず、企業も持続可能な社会を目指して邁進しております。この国際目標を参考にし、我々狸社会も持続可能な社会の実現を目指す必要性があるかと思料いたします。理由としましては、人間の里山開発による狸の定住地域の減少、化け学並びに変化術の多様性の枯渇化、人間社会への流出に伴う
「ご指摘いただいた件につきましては、我々も課題とするところでございます。里山開発における狸の定住地域の減少につきましては、より一層狸議員を人間の政治界へ参入させ、人と狸のより良い共存社会を実現させる人と狸のスマートシティ計画の発案を行ってゆく所存です。また、化け学における多様性の枯渇化と狸口の流動化、少子化、晩婚化は密接に繋がっております。古来より我々は人間に限らずあらゆる動植物や器物への変化を学び、実践してきましたが、人間社会における娯楽性の増加に伴い、若年狸の変化術は人への変化を主題とし、その技巧の向上によって、里山を離れ人間社会へと生活の拠点を移す者も増えております。かといって、その意思を抑え込むことは、
関ヶ原小四郎狸梅乃
「ご回答ありがとうございました」
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