自然と建物の融合は当たり前に癖

あきれすけん

第1話

 はじめに、私は自分の好きなものをひとに話すことが苦手です。自分の心をそのまま人に見せるような気がして、そわそわしてしまいます。ハマっているものや趣味を共有するのも、十年来の友人としかできません。

 しかしこんな私でも、この企画を通して自分の中にある「好き」と向き合ってみたいと思いました。人に「話す」ことは苦手でも、「書く」ことはできる気がしたのです。


 書くにあたって、色々と考えました。

 ひとえに「好きなもの」と言っても色々思いつきます。日常生活の中にあるものも、趣味も、持ち物も、癖も、いくらでも思い浮かびました。しかし自分と向き合うためにもより自分の深いところにある「好き」なものを選びたいと思い、癖にも近いものを選びました。


 エッセイを書くのは初めてで不慣れですが、お付き合いいただけると幸いです。



 私は山をぼうっと眺めるのが好きです。山と人工物が組み合わさった光景が大好きです。


 私の住む場所は山を切り崩して作った場所で、周りもまた、山に囲まれています。見晴らしの良い場所に行くと、向かい側にそびえる山とそのふもとにある町がいっぱいに広がる景色を眺めることができます。

 晴れた日は山の緑に雲の影がかかり、山の凸凹の影と合わさって、万華鏡を回すように模様を変えていきます。ぼうっと眺めていても、すぐ新しい表情を見せてくれます。「今日はよく晴れている」という証明でもある雲の影。それを見ているだけで、何度荒れた心が凪いだかわかりません。


 刻々と変わる景色は、当たり前に季節ごとに全然違う顔を見ることができます。春は山桜、夏は深い緑、秋は紅葉、冬は山頂の方に薄いヴェールのように雪で覆われます。そんな山の景色は、いくら見ても飽きることはありません。


 私がよく眺める山には、ポツンと小さな建物が見える山があります。

 小さい頃から変わらずこそにある遠くから見たら米粒のようなそれは、きっと間近で見ると立派な建物なのだろうと想像します。深い山の緑の中でも浮いた存在はしかし、それがないとあの山だとは思えないくらい、私にはよく馴染んで見えました。小さい頃は、あの小さな建物に行く妄想をして、空想の冒険をしたものです。

 山をどう歩けばあの建物に着くのか。あの建物はどんな場所なのか。想像するだけでワクワクしていました。

 今はもう、そこがどんな場所か知っています。それでも、今山頂のあの建物を眺めるだけで、あの頃妄想した高揚感に包まれるのです。



 とまあ、ここまでダラダラと語りましたが、山と建物のある景色が好きという一言に尽きます。都会の華やかな景色も好きですが、それよりも山や、そこに建っている人工物を眺める方が、心が穏やかになります。

 山を舞台にした映像作品やゲームなども好きです。特にゲームでは色々な景色を見たくて、ストーリーそっちのけで山や野原を駆け回ってしまいます。自力では行けない場所にも行けるので、コントローラーを動かす手が止まらなくなります。


 きっと今後、旅行や出張で都会に行くことはあるのでしょうが、そこに住むという想像は全くつきません。あってもきっと、すぐ「帰る!山の見える方に帰る!」と叫ぶ気がします。

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