自由になりたい冒険家は世界を見たい

黒木 森

第一部 プロローグ

第1話 震える手

「…私は認められたい。英雄としてみんなから認められたいの。


 ごめんなさい、アッシュ、だから…」




 女性―アメリアは泣くのをこらえているかのような表情で、それ以上何も言えずに言葉を詰まらせ、パーティーの脱退を迫られたアッシュを見つめた。






 アッシュもまたアメリアを見つめ返す。彼女と過ごした思い出が次々と蘇り、揺らぎそうになる。


 しかし、自分の気持ちは初めから決まっている。




 アメリアから目をそらし、震える手でアッシュは脱退手続きの紙に自分の名前を書く。


 憤りからの震えではない。ようやく自由になれるのだという歓喜の震えだ。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 カクヨムでは初めまして。黒木森と申します。

本日からしばらくの間毎日0:00に3話連続投稿予定なのでよろしくお願いします。



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