青春の揺らぎ
ー登校日初日ー
俺は、起きてすぐに“禁欲ゲージ”を確認する事が日課になっていた。
あの半透明のバーは今、どのくらい溜まっているんだろう?見てみると1回分がようやく溜まっていた。
「月に一回かー」
残念だったが、その使い道についてワクワクしている自分がいた。
学校に着いてもスマホの画面じゃなく、手の甲に浮かぶゲージを何度も確認しながら、俺は窓際の席に座った。
「……やっぱり、
今日からが本当の勝負だな(意味深)」
そんなことを考えていると、後ろから声がかかった。
「ねえ、乾くん?」
振り返ると、昨日の眼鏡っ子・浅草寺流華が、こっちを見ている。
まさかのおんなじクラスになれたことに歓喜した
(相変わらずデカいな)
「どうしたんだ?」
「あのね昨日ぶつかっちゃってごめんね。私、実は……」
そう言って彼女は、一瞬ためらった。
「えっと……私、ちょっと人見知りで……だから、もしよかったら、少し話さない?」
予想外に積極的で、心臓が少しドキッとした。
我ながら激チョロすぎだろ
「全然、いいよ。俺も特にやることないし」
俺の返事に、浅草寺はうっすら笑った。
その日、昼休み。校庭の片隅で二人きりになった時だった。
浅草寺は少しだけ顔を赤らめて、
(まさかこれは!!!? あの伝説の一目惚れ告白というやつか!?)
と思ってるのも束の間、期待は綺麗に裏切られた
「ねえ、乾くん……こういうこと、あんまり得意じゃないけど、私、ちょっとだけ相談があって」
(ですよねー)
「相談? なんだ?」
「うーん……えっとね、私、家がちょっと厳しいんだけど、高校生だし色んなことしてみたいなってあと・・・それで相談したんだ」
それから俺は頷きながら浅草寺の色んな話を聞いていると、初対面より表情が明るくなった気がした。
「……ありがとう。乾くん相談に乗ってくれて
おかげで気が楽になった!」
「それはよかった。実は俺もいろいろあるんだよな」
口に出すと、
「禁欲ゲージが溜まってるってやつでさ……」
つい口が滑ってしまった、
「え?」
「いや、なんでもない気にしないでくれ」
言わなきゃよかったと思ったけど、浅草寺の瞳は真剣だった。
「もしよかったら、私もその“禁欲”の話してくれないかな?
乾君に色々相談したし私にも相談してし欲いな。」
どうしよう……ここで正直に話すか?
いや、まだ早いかもしれない。
今、あの夢の神様の言葉が頭をよって。
「禁欲を続ければ願いが叶う」
俺の願いは、今はただ――
普通の高校生活を、楽しく送ること。
いや違う"美少女エッチでムフフな生活を送る事だ"とも言える訳がなく。
「わかった。じゃあ、少しだけ話すよ」
真剣な顔に訴えられた俺は断れるわけもなく、俺はエッチな、、ではなく“禁欲”という奇妙な呪縛について話して話し始めた。
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