第4話
「佐智子、ワシ、オワッタわ」
麦茶をゴクゴクと飲んでいた佐智子が、ワシの言葉で麦茶を吹いた。
そう、お笑い番組とかでよく見るあの光景だ。
「そういうことはもっと早く言ってよ。ご飯の最中に言われても困る」
「あーあ、もうこんな水浸しにしちゃったじゃない」と台所に取りに行った布巾でお椀を避けながら机の上の麦茶を拭く。
「お母さんから聞いていたけどやっぱりお父さんって放っておけないわ」
「放っておけないか……。すまん」
和夫は放っておけないほど手がかかるという意味だと思った。
だから、佐智子にこくりと詫びた。
「なんで謝るの?放っておけないっていうのは放っておいたら何しでかすか分かんないから心配って意味よ?」
嬉しかった。
ワシは手がかかって邪魔、そう言われたと思っていたからそうじゃないと否定されて途轍もなく嬉しかった。
佐智子は、麦茶を拭き終わりはぁとため息をついているが。
きっと、佐智子は自分の言ったことでワシがどれだけ喜んでいるか自覚していない。
でも、それで別にワシは構わない。
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