―陰陽師の家に生まれた転生少年
転生した九条蒼真(くじょう・そうま)は、陰陽師が力を誇る世界で、
自分だけ「霊力」ではなく「MP」を持って生まれた少年。
──その“違い”が、やがて彼を誰よりも強くしていく。
物語は、彼がまだ赤子のころから始まる。
優しくもミステリアスな母・九条甲斐、
そして感情を見せない最強の父・九条紅(くれない)。
二人の間に生まれた蒼真は、穏やかな家庭の中で、
ひそかに自分だけに見える“ステータス”の存在に気づく。
ステータスは正直だ。
筋力、敏捷、知力、魔法──
すべての数値が日々の努力で上がっていく。
まるでゲームのように。
けれどこの世界では、誰もそんなものを見ていない。
それが彼だけの「特別」だった。
蒼真は毎日、手を光らせる練習を繰り返す。
魔法を使うたび、数値が上がっていく快感。
まるで筋トレならぬ“魔トレ”。
そしてついに、ステータスには「魔法」の文字が刻まれる。
周囲の陰陽師たちは「霊力」を操る。
だが蒼真の力は“魔力”だ。
異質な存在として恐れられ、理解されない力。
それでも彼は諦めずに、自分の「努力」で成長していく。
そんな中、父・紅の存在が圧倒的に立ちはだかる。
その霊力は七百を超え、陰陽術は二千を超える。
祓魔師の中でも群を抜いた最強クラス。
息子を見下すでもなく、褒めるでもなく、
ただ一言「励め」とだけ告げる冷たい背中。
しかしその姿が、蒼真の心に火をつける。
彼は自分の中で、努力の成果を「通知」で確認する。
《剣習熟度が1上昇しました》
《MP習熟度が2上昇しました》
このシステムは、成長した時だけ反応する。
つまり、努力が正しい時だけ反応する。
それを知った瞬間、蒼真は歓喜する。
――「努力の正解が見える」この力こそ、最高の才能だと。
この世界で祓魔師は、社会の頂点。
財も名声も約束される存在だ。
蒼真は思う。
「次の人生では、貧乏せずに生きたい」
そのために、自分のMPを武器に、
陰陽師の世界で頂点を目指すと誓う。
そして彼は四歳にして、初めて“魔法”を撃とうと決意する――。
この続きは是非、ご自身でご覧ください。