陰陽師世界に転生したけど、俺だけRPGのMP制だった件 ~努力してステータスを伸ばしていたら最強になってました~

純クロン@『努力家な転生第六王子』発売中

一章

第1話 転生


 ――現実でステータスが見れたらいいのに。


 夜。俺は自室でゲームをしながらふと思った。

 いまプレイしているのは『ドラゴンマジック』というファンタジーRPGだ。

 

 魔法と剣で戦う王道モノでまさに神ゲーである。


 俺はRPGが大好きだ。

 努力すればレベルが上がって、ステータスが高くなるという結果が出るからな。


 やればやるほど強くなれて報われる。

 努力が報われない現実と違ってな。


 あと会社が潰れたので絶賛無職である。

 二カ月前には昇給の話も出ていたのに倒産とは……。


 必死に仕事を頑張った結果がこれだ。会社が潰れたらムダになってしまった。

 貯金もロクにないし将来が不安だ……。


 努力すれば報われて、お金の心配をせずに暮らしたい……。

 すると部屋が真っ白に光り、ゴロゴロゴロと轟音が鳴った気がした。

 




❖ ❖ ❖


 


「あなたの名前は蒼真そうまちゃんよ!」


 いきなり呼びかけられて目を開けると、可愛らしい女の子の顔が近くにあった。

 この和風着物美少女は誰だ? 


 周囲を見回してみるとすごく和風の部屋だ。

 座敷でふすまもついていて、俺はたたみに敷いた布団で寝かされていたようだ。


 ……こんな場所に覚えはないぞ?


「よしよし。蒼真ちゃんはお利口ね」


 着物姿の美少女が俺をヨシヨシとあやす。

 たぶん中学生くらいだろうか? かなり幼い感じの容姿だ。

 

 近くにある立て鏡を見ると、美少女が赤ちゃんを抱いている姿が写っている。

 ……あの鏡に映ってる赤ちゃんって俺なのか!?


「う、うぅ」


 声を出そうとするがまともに喋れない。

 俺が右手を頑張って動かすと、鏡に映った赤ちゃんも右手を動かした。


 ……嘘だろ? 俺、赤ちゃんに転生してる!?


「蒼真ちゃん、お腹が空いたのかなー?」


 着物姿の女の子が笑いかけて来る。

 俺が赤ちゃんだとするとこの子は年の離れた姉か。


 この美少女は中学生っぽいから13歳くらいか?

 いや最近の子は発育がいい。小学生の可能性も……。


「よしよし。お母さんですよー」


 え? この子が俺の母親なの?

 



❖ ❖ ❖



 

 俺は転生して一歳になった。

 いまも座敷に敷いた布団に寝かされている。


 俺は雷で死んで、この世界に転生したのだと思う。

 あの時、部屋が真っ白になって凄まじい雷音が聞こえた気がしたし。


 しかし死んでしまったものは仕方ない。

 幸いだったのは前世ではすでに両親も亡くなっていて、迷惑をかける相手もいなかったことか。


 さてこの世界についての結論を言おう。

 ――ここは日本であって、日本ではない世界だ。


「おかあさん。てれび」

「蒼真ちゃん、じゃなくてよ? 変な言い方しても伝わらないからね?」


 着物姿の中学生くらいの女の子(母親)は、そう言って木製ガワのテレビの電源をつけた。

 まずこの世界だが英語やカタカナがあまり使われない。


 全体的にすっごく和風なのだ。例えば部屋についてるクーラーも木造である。 

 これだけでも現代日本とは違うように思えるだろう。


 だが正直この辺は些事さじだ。

 俺のいた日本との一番の違いはというと。


「蒼真ちゃんは大人しくて助かるわー。動き回ったらを操るのが大変だもの」

 

 ――人型に切られた紙きれたちが、俺を守るように周囲を浮遊してるのだ。

 俺が手を伸ばすと、紙きれたちは逃げるように少しだけ離れる。


「こら蒼真ちゃん。式神はあなたを守ってるから、触ったらダメよ。作るのにが必要なんだから。お母さんは凄腕の祓魔師ふつましだけど、それでも作るのは大変なのよ」


 母親が指を立てて注意してくる。

 この世界には霊力という摩訶不思議な力があるのだ。


『駿河で【猫又】の群れが出現しました。東京都陰陽協会によって祓われましたが、道路などに被害が……』

を無視した違法建築が見つかり、集合住宅が壊されることに……』


 まるで交通事故のノリで、妖怪などのニュースになっている。

 この世界、陰陽師的なのが跋扈ばっこする世界らしい。


 俺は和風陰陽師世界に転生してしまったのだ。

 ちなみにこの部屋にも刀とか飾ってあるので、けっこう物騒な世界なのかもしれない。

 

「蒼真ちゃんも将来は祓魔師になろうね?」


 母親は俺の頭を撫でてくる。

 いや一年経ってもいまだに母親には思えないけど……主に見た目がね。


 さてこの世界については理解した。

 その上でひとつだけすごく気になっていることがある。


===================

九条 甲斐(かい)

女:19歳

状態:健康

霊力 224/230


筋力:191

敏捷:310

器用:310

知力:510

陰陽術:1100


スキル

雷霊術らいれいじゅつ、雷天狗の呪い

===================



 ……なんかステータスみたいな文字が、空中に浮かんで見えるんだよね。

 あと母親はギリギリ合法な年齢だったらしい。見た目は脱法だけど。


 そして鏡に映った俺のステータスなのだが。



===================

九条 蒼真

男:1歳

状態:健康

 1/1


筋力:1

敏捷:1

器用:1

知力:500

陰陽術:0


スキル

転生者、??の呪刻、魔傷ましょう

===================


 なぜか俺だけステータスにMPの欄があるんだよね……。

 これがゲームなら敵を倒したら、数値が上がっていくのだろうけど。


「ねえ蒼真ちゃん。そろそろハイハイしないかなー? ほらお母さんと一緒にやってみよー」


 母に身体を起こされて、畳の上で四つん這いにされてしまった。

 弱った。ハイハイしないと開放されそうにないぞ。


 仕方ない。面倒だけどやってもいいか。

 この程度なら頑張らなくてもできるからな。


 そう思ってハイハイ移動をし始めたのだが……思ったよりしんどいな?

 赤ちゃんのパワーではハイハイでも筋トレ感覚だ。


《筋力習熟度が10上昇しました。筋力が1上がりました》


 脳内に無機質な声が響いた。

 声を信じるならステータスが上がったのか?


 鏡をまたチラ見する。なんと『筋力:2』に上がっていた。

 ほほう? 頑張れば数値が上がるのか。


 ……これさ。俺の求めていた力じゃないか?

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