詩の世界は、思い描いた人の数だけ様々な情景、様々な解釈が浮かぶところに良さがあると感じます。その点で今回の『思いを丈を載せる詩』という連作は作者の徒然なる思いを、頭の中で咀嚼し、もう一度構築する時間が非常に有意義なものでした。
『時間の切なさ』では、存在が飲まれていく様を切ないと表現するところに良さを感じました。不易を、そういうものだと思うことも大切なのかもしれませんね。
また『永遠の星の光』では、本来であれば無機質であるはずの瞳の、その奥に残る忘れられない情景。それらを星の光と表現するのは、とても詩的で情景に溢れる描写であると感じました。
『空の青』は、想い出の中の朧げさと、聡明な青さであり続ける空との対比が非常に良かったです。それらは心を通わせた人たちとの共通項であり、彼ら自身への想いとも繋がっているのが素敵だと感じました。
この連作の中には時間の経過や別れを題材にした作品も多く、そのあたりも色々と考えさせられました。時間の有限性と不変性。本当に読めて良かったです。