第7話 沙汰

奇妙な女子もといアキが話しかける。


『まず、どうして命を落としたか気になります』


「討たれた、それだけだ。」


『え、もっとこう、なんか無いんですか』


人の死を何だと思っているのか、無礼か白痴な聞き方をするものだ。


『甲斐の虎…武田信玄が戦に敗れた頃。私には吾妹が居た。』


「わぎも….?」


『…思ひ人と言えば通じるだろうか』


「へー、お侍さんも恋してたんですねぇ」


『我も人間であるからな。時に我に恨みも持った無宿共は我でなく吾妹に手をかけた。我の産まれである木宮の元へ女房を運んだが、助かりはせんかった。』


「あ……あの…ご愁傷さまでした」


多少の礼儀は知っているようだ。


『死人に口は要らぬ』


『我の家族は我を歓迎してくれた。しかし元に木宮家に背を向けた手前、其方に居るのは忍びなかったのだ。それに私にはやらねばならぬ事が出来た。』


「復讐….ですか….」


『復讐は己の怨みを晴らすべくの事だ。これは全て女房の代償を償わせる制裁と言えよう。』

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