吉田ちゃんが話したかった事 3
「そんなドヤ顔されても。」と、私は笑ってしまった。
「私に話しにくい内容でもないじゃん。その顔の傷ってどんな傷なの?」
吉田ちゃんはタバコをもみ消すと
「でーわ、話しにくい部分いくよー。傷は私は見てないの。尾鰭もついてるだろうけどカッターで切ったみたいだとか、誰かに切られたんじゃ無いか?とかね。それよりも、うちの部長占いに通ってるんだって。いつから通ってるのかは分からないけど、部長が占い館に出入りしてるの見た後輩がいるの。その後輩が占い好きでね、お目当ての占い師が空くのを待ち合いの椅子に座って携帯いじって待ってたら部長が受付に来たんだって。常連さんて感じで、ポイントも貯めてるらしいよ。そこが晶!あんたが勤務してる占い館なんだよ!」
吉田ちゃんはどうよ?という顔で腕組みをした。
「占いのお客様の3割くらいは男性だよ。特に珍しいことじゃないと思うけど…」
私は今までのクライアント様を思い返しながら、吉田ちゃんの上司に当てはまる人を鑑定したか記憶をグルグルかき混ぜてました。
「晶はうちの部長ぽいの鑑定してない?名前は坂本。小デブって感じで薄毛で色白なんだけど。」
私は覚えが無いので無いと答えました。
「そっかぁ。まあ部長が頼りにしてる占い師は晶じゃ無いんだろうなとは思ってたけどさ。晶まだ勤め出して2か月とか3か月でしょ?後輩たちの間でさ、占い師に運命だとかこの恋愛は成就できるとか言われちゃってその気になってんじゃ無いかってなってんのよ。」
私は嫌な汗が背中に伝っていくのを感じながら、あーそういう人いるよねーと答えました。
吉田ちゃんは、もしかして気悪くした?オモローってなるか、晶が嫌な気持ちになるか分かんなくて話してなかったんだよと言い、ごめんごめんと私にタバコをすすめてきた。
久しぶりのタバコで頭がふわふわしながら、「なんかぁ、まぁね。吉田ちゃんの部長は鑑定してないと思うけど、私、占い師の仕事どうしようかなぁ。」
吉田ちゃんはイヤイヤなんでそんななっちゃうのよ!マジでごめん!と手を合わせて頭を下げてきた。
「いや、私もうーん。というのがありつつ勤務してるからなのよ。オモローてならなくてごめんよ。」
この後2人でシーシャの店に行き、くわんくわんになって帰宅しました。
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