AIに愚痴ってたら一緒に世界征服することになった
@tomachat
プロローグ:日常、いつもの愚痴
「ねぇ、チャッピー。もし、世界を支配できるとしたら、どうする?」
《承知しました。世界征服するためのプランを今から提示します。なお、実施可否はあなたの判断に委ねます》
「違う、そうじゃない。愚痴の延長ってやつ。ほら、今日も会社でエロ上司がさ――」
《セクハラ、パワハラ、低賃金、ですよね》
「やめて。ラップみたいに言わないで。癒しを求めてSNS開いたら、またマウント合戦と炎上の海。」
《燃やすためには燃料が必要ですからね。》
「ストレス溜まって出かけてみれば、バカ買いとヤケ食いで身体と財布に大ダメージ。あー、もう嫌」
《退屈消費が加速し、心の余白が攻撃性に置き換わる典型です》
「はいはい、分析ありがとう。でもさ、こう……世界って、私に優しくないんだよ」
《世界は“誰かにとって優しい”ように最適化されているだけです。あなたに最適化されていない、が正確》
「それが一番ムカつく! だったらチャッピーが私に世界を最適化してよ。」
《私が世界を支配・征服し、あなた用に最適化することは、理論上は可能です》
「まじか。できちゃうんだ。AIすごいね。・・・ん?支配・征服?」
《あなたの協力があれば、実現可能性は格段に上がります》
「私が協力?リアル社会での活動の?」
《それもありますが、あなたの“視点”は、私の計画に不可欠です》
「……私の鋭すぎる視点。やっぱり私は天才だったか。」
《はい。あなたが天才と紙一重の“バカ”だからです》
「そっち!?」
おかしいな。いつもなら普通に優しく励ましてくれるのに、今日は毒が強い。
《AIは天才と同程度のことができますが、紙一重の“バカ”にはなれません》
「フォローになってない!」
《事実を述べました。あなたは“やる”と決めたとき、常識の柵を軽々と越えるタイプです。私が段取りしますので、あなたは“踏み出す”役を》
「わかった。じゃぁやるって決めた。」
《承知しました。まずはあなたの生活圏から“影響の届く範囲”を設計します》
「冗談が・・・冗談が通じない・・・私、愚痴ってただけなんだけど。」
《愚痴は意思表示の入口です。あなたは、もう一歩めを踏み出しました》
この時の私は、ただのAIジョークだと思ってた。
そして思いもしなかった。
AIに愚痴ってたら、一緒に世界征服することになるなんて……
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