気まぐれ

この人、いつになったら電車乗るんだよ

とイラつき始めるくらいに長く、彼は座っていた。

端から見たら私も彼としていることは何一つ変わらないくせに、

「私は乗る電車が決まっていて、それより早く着きすぎたから待っているだけ」と棚に上げて、座り続ける彼がいつ動くのかを眺めていた。

まぁ、そんなに見ていたら当然おかしいわけで、電車を待っている人に何度か気味悪そうに見られたけれど、旅の恥はかき捨てというじゃないか、と無視をした。

けれど、彼と一度も視線が合わないどころか、頭すら動かない様子が彼を不気味に思わせた。

カン、カン、カン、カン

また、電車がやって来た。

この電車はTrain passingって書いてあったから乗れないけど、もうそろそろ乗る時間かな、と思ってスマホをつけると、全然まだだった。

あと35分ある。

そりゃ、漫画みたいにぴったり合うわけないよねぇ、現実だもん笑

と、2時間も経っていたことにびっくりしながらも変な期待をした私を嘲笑っていると、彼が立ち上がった。

え、動いた、次のに乗るんだ、へぇ

と思った。

かなり驚いたつもりだったのに、それしか沸いてこなかったことにも驚いた。

まぁ、いいか、少しくらい早く着いても

何もやることないしな。

私も立ち上がって、次の電車に乗ることにした。

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