氷室冴子著「銀の海 金の大地」を再読したら深く傷ついたので中二的なお気持ちを語る
八島清聡
1.再読のきっかけは集英社オレンジ文庫からの復刊
少女小説・青春小説家の大家、氷室冴子さんの未完の名作「銀の海 金の大地」(以下、銀金)を今回再読したきっかけは、そのままズバリの復刊だった。
この銀金シリーズは1992年に集英社コバルト文庫から第1巻が出、第一部だけで11巻あるのだが、その後全六部の構想だったらしい大長編の続編が書かれることはなく、作者の逝去によって未完となってしまった。
本は絶版となり、電子書籍での販売もなかったため、新規の読者は入りづらい状況にあったようである。
それがなんと、今年に入って集英社オレンジ文庫から装丁を新たにして復刊した。
すごい、今出すんだ。今だからこそ出すのか?
編集部は大英断だし、よくぞやってくれたと快哉を叫びたい。
私が復刊を知ったのは先月(7月)である。
2月に新型コロナに罹患し、他の感染症や後遺症で3ヶ月ほど苦しんだあと、6月に入ってようやく復調し、気軽に外出できるようになった。
若干浦島太郎状態でネットを見ていたら、銀金が復刊していることを知った。ついでにコバルト文庫がなくなっていることにも驚いた。今は後継のオレンジ文庫が、若年層の女性向けライトノベルを刊行しているらしい。
コバルトからオレンジ。瑞々しい空色から、鮮やかなオレンジ色へ。青々とした実からの成熟を目指すようなレーベルの変容は、刊行される作品のイメージをも反映しているのか。
氷室さんはコバルト文庫の看板作家であったから、その古巣自体がすでにないというのは少し寂しい気もするが、これも時代の流れだろうか。
とにもかくにも銀金の復活は嬉しく、私は早速書店に行って復刻版を購入した。
イラストは旧版と変わらず飯田晴子さん。表紙は描きおろしで、中の挿絵も描き直されているものが多い。
まだ出てない分については、図書館に行って旧版を借りてきた。
私は新版の描きおろしイラストを楽しみながら、銀金を読んだ。
そして、愕然とした。
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