これはタイムスリップした俺たち2人が戦国の世で誰よりも最強になる物語

@Septem_

第1話 

昔、戦国の世に二つの豪家があった。

ひとつは、太陽を象徴する侍の家系、東雲家。彼らは上杉謙信に仕え、その圧倒的な武勇と武功で天下に名を轟かせた。戦場では敵も味方も震え上がるほどの剣技を誇り、その名声は時代を超えて伝えられるほどだった。


もうひとつは、月を象徴する忍の家系、月影家。風魔、伊賀、猿飛を従え、歴史の影で暗躍し、戦国の闇を操った。夜陰に紛れて情報を掴み、暗殺も諜報も得意とするその一族の力は、誰も抗うことができないほどだった。


だが、二つの家系は時代の流れに逆らうことはできず、織田信長が天下統一を成し遂げることで、戦国の世は終わりを告げる。信長の血を引く織田家は、現代に至るまで絶対的な権力を握り続け、日本を科学と軍事の大国へと変貌させた。忍者や侍の技術も、織田家の支配のもとでは表舞台に出ることは許されず、力を持つものほど抑え込まれる日陰者となった。東雲家と月影家もその例外ではなかった。かつて織田家と対立した名家として、表の世界から遠ざけられ、今も日陰で生き続けている。


――その現代。


「おーい、颯真ー!」

蓮の声が、放課後の校庭に響き渡った。部活動の音や生徒たちの笑い声が混ざる中でも、彼の声は群を抜いて大きい。


東雲蓮。少し髪が茶色で身長178cセンチの爽やかな笑顔が似合う正々堂々とした佇まいと、光を宿した瞳を持つ。東雲家次期党首であり、天性の存在感を放つ少年だ。


「なんだよ。相変わらずうるさいやつだな」

月影颯真。黒髪で身長180センチでクールな影のある端正な顔立ちに、どこか達観した雰囲気を纏う。月影家次期党首であり、蓮とは幼なじみでありながら、互いの家系の跡取りとして生まれながらにライバルだった。


「俺、また新しい技思いついちゃったわ」

「またか、どうせ授業中に考えたやつだろ」

「うっせぇ、見てろ!」


蓮が深呼吸をする。彼の集中力が空気を震わせる。


「カマイタチの術!」

ふわりとした風が颯真の横を通り抜ける。何の変哲もない、ただの風だ。


「どうだ、すげーだろ!!!」

自信満々の蓮。颯真は呆れながらも、微笑みを浮かべて言う。


「お前が授業中に考えたにしては、なかなかだな」

「なんだその言い方! 一時間で考えたんだぞ、褒めろよ!」

二人は笑い合い、刹那の安らぎを共有する。


「とりあえず、体育館で組み手でもしようぜ」

体育館に着き、2人は制服の裾を折り、蓮が構えを取る。颯真も渋々ながら、相手に合わせて構えた。蓮は背筋を伸ばし、真剣な眼差しで木刀を握る。颯真は忍術の印を結びながら、蓮の筋肉の動きを注視している。

「抜刀 霞」

先に動いたのは、蓮だった。一瞬で颯真の間合いに入り刀を振り上げる。だが颯真はクナイでそれを防ぐ。


「お前、昨日より反応速くなってるな」

颯真が蓮に言う。蓮は微笑むだけで答えないが、刀の切れ味は確実に増している。

「影縫い」

颯真が忍術を出し無数の実態のある影の手が蓮の腹を殴る。

「お前も威力あげたくせに」

どこか嬉しそうに蓮は言う。1回殴られ、後の影の手は刀で斬った。彼らの実力は互角だ。この高校に彼らより強い侍見習いや忍び見習いはいない。この国では、18歳にならないと正式な侍と忍びにはなれない。だが、彼らの実力はお互いに名門の次期当主なだけあり、そこらの侍、忍びよりも遥かに強い。

時間がすぐに経ち、部活動の音で溢れていた廊下も今や声が反響するほど静かだ。

彼らにとって時間を忘れる程のこの場は、鍛錬の場であり、友情を深める時間でもあった。





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