本当に良質なホラー作品。
乾いた空気と積み重なった年月の中に、「人ならざるモノ」の慈愛と脅威が同等に並んでいる。毒は薬にもなるというが、本作はその反転である。だが、その変貌は残酷なまでに美しく、文句のつけようのない「必然」としてそこにある。
三年前、M・ナイト・シャマラン監督が製作した映画『デビル』を観た時のことを思い出した。どんなに取り繕っていようとも、罪を犯した人のことを悪魔は決して忘れない……
それほど悪いことをした覚えもないのに、「ああ、怖い。逃げられない」とゾッとしたあの感覚が、本作を読んでありありと蘇ってきた。
結局のところ、真の恐怖とは……「あり得たかも知れない自らの未来」が、音もなく背後に立つ瞬間のことを指すのだろう。
ちょっと特別なお地蔵さんがおられます。
子どもの頃から、病気のときに手を合わせてきた人も多いでしょう。ありがたい存在やのに、その顔立ちはどこか苦しそうで、幼い頃は近寄るのが怖かった記憶もあります……。
この物語は、そんなお地蔵さんにまつわる地区の言い伝えと、それにまつわる出来事を描いたものです。
読んでいくうちに、子どもの頃から「当たり前」と思っていたものが、実はとんでもなく恐ろしい意味を持っていたのではないか――そう気づかされます。
静かな町の日常のなかに潜む、不気味で抗えない力。読み終わったあと、きっと誰もが「地元に伝わる言い伝え」を簡単に笑えなくなるはずです。