第49話 戦場と化した大広間
「全員、落ち着け!」
剣聖ライオネルの声が大広間に響いた。
「王国騎士団は国王と貴族の避難を最優先! この場は我らが持ちこたえる!」
騎士たちは「はっ!」と声を揃え、盾を掲げて貴族たちを守りながら広間の外へ誘導していく。
人々の悲鳴と混乱の足音が遠ざかる中、残されたのは勇士たちと三体の魔神、そして召喚者ディアス。
老人の姿をした男は、ゆっくりと笑った。
「予定とは少々違って、子犬が紛れ込んでいるようだな……だが、問題あるまい」
その目は明らかにアレンを嘲るように向けられていた。
ライオネルは剣を構え直し、戦端を開く指示を出す。
「バルゴスはアレンとカイル! 力で受けられるのはお前たちだ!」
「了解!」アレンとカイルが同時に声を上げ、大地を割る巨斧を睨み据える。
「アエリオスはリリアナとセレーネ! 空を制さねば王宮が崩れる!」
「任せて!」リリアナがマントを翻し、セレーネは鋼棘アーマーの弓を引き絞った。
「ディアスは私が相手をする」
セリーヌは静かに一歩進み、杖の先に魔力を収束させる。
「あなたの歪んだ魔法、私が断ち切るわ」
「ソフィアは全体を見ろ! 回復と補助はお前に任せる!」
「はいっ!」ソフィアは仲間全員を見渡し、治癒の光を展開する準備を整えた。
そしてライオネル自身は、燃え盛る炎の魔神イグニスの前に立つ。
「灼熱の魔神……この俺が相手をしよう」
全員が布陣を整えたその瞬間、炎が爆ぜ、風がうなり、巨斧が振り下ろされる。
王宮の祝宴は完全に戦場へと変わり――四方で死闘が始まった。
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