第19話 ギルドポイント稼ぎ
翌日。
アレンたちは朝一番で冒険者ギルドへ足を運んだ。
カイルは胸を張り、わくわくした様子で受付に向かう。
「よし、昨日の黒牙の拠点を潰した件で、ギルドポイントを頼むぜ!」
受付嬢は書類を確認し、にっこりと笑顔を浮かべた。
「……ギルドに正式な依頼として登録されていませんので、残念ですがポイントにはなりません」
「はぁぁぁぁぁ!?」
カイルがガクンと膝をついた。
「命がけで幹部まで倒したのに、ノーポイント!? そんな馬鹿な……!」
「だから言ったでしょ」リリアナが呆れ顔でため息をつく。
「勝手に動いた分は、ギルドの実績にならないのよ」
気を取り直し、アレンは尋ねた。
「じゃあ、Dランクで受けられる依頼で、ポイントが高いのは?」
受付嬢は一枚の依頼書を差し出した。
「近隣の村の近くで、オークの群れが目撃されています。このまま放置すると村を襲う危険があるので、討伐依頼が出ています」
「オークか……数が多そうだな」アレンがつぶやく。
「でも放っておけないわね」リリアナは依頼書を受け取り、堂々と頷いた。
「私がリーダーとして受けます」
「よし、それじゃあ行くか!」カイルも立ち上がり、気合を入れる。
その横で、セレーネがにっこりと笑った。
「もちろん私も行きます。パーティーメンバーですから」
「王女様がオーク討伐って、どう考えても危ないんだけどな……」
アレンは苦笑しつつも、結局反対できなかった。
こうして一行は、新たな依頼──オーク討伐へと旅立つことになった。
◇
翌日。
装備を整えたアレンたちは、近隣の村の外れに広がる森へと足を踏み入れた。
「ここにオークが出るのね」リリアナが辺りを見回しながら、素早く縄を張り巡らせていく。
「罠の準備は任せて。引っかけて動きを止めれば、あとはあんたたちの仕事よ」
「了解!」
アレンとカイルは剣と大剣を構え、待機する。
セレーネは弓を取り出し、凛とした声で言った。
「では、私が先陣を切ります。……ほら、ここにいますよ!」
鋭い矢が木々を裂き、オークの群れを威嚇する。
咆哮を上げたオークたちは誘導されるまま、罠の範囲へ突進した。
「かかった!」
縄が弾け、数匹が転倒する。
そこへアレンとカイルが飛び込んだ。
「はあっ!」
「うおおおおっ!」
剣と大剣が閃き、オークたちは次々と倒れていく。
あまりに手際がよく、ソフィアはただ両手を胸の前で合わせて応援するばかりだった。
「が、がんばってください! みなさん、すごいです!」
やがて森は静寂に包まれた。
アレンたちは討伐したオークの牙を一つ一つ回収し、袋に詰め込んでいく。
「これで依頼完了だな」カイルが満足げに笑う。
だがその時、背後からしわがれた声が響いた。
「……ほう。私が召喚したオークどもを、これほど容易く倒すとは」
振り返ると、森の奥からフードを被った謎の老人が現れた。
枯れ枝のような杖を突き、深い皺の間から怪しく光る瞳を覗かせている。
「なっ……召喚した、だと?」
アレンが警戒して剣を構える。
老人は不気味に笑い、杖を地面に突き立てた。
「ならば──これならどうだ」
地面に黒い魔法陣が広がり、重々しい振動が大地を揺らす。
次の瞬間、天を衝く巨体が姿を現した。
緑黒色の肌、王冠のような骨角、そして巨大な戦斧を携えた怪物。
「グオオオオオォォッ!!」
「オーク……キング!?」
リリアナが息を呑み、セレーネが矢をつがえる。
アレンは剣を握り直し、仲間に叫んだ。
「全員、構えろ! ここからが本番だ!」
森が揺れ、オークキングの咆哮が轟いた──。
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