お節介さるかに合戦 解説

※こちらは解説です。意味は全てわかった! という方は読み飛ばしてもOKです。


 結論から言うと、真犯人は栗です(こういった解説に慣れておらず、自分の作品に関して「これ実はこういうことだったんですよ、すごいでしょう?」みたいにするのが苦手なので、話の段取りがおかしいかもしれません。いきなり真犯人とか言うか普通?)。


 そもそも、殺ガニ現場を目撃して「(サルが)木の下で文句を言っていた母ガニさんに、柿を投げつけて殺しちまった」と証言したのは彼だけだったので、子ガニを騙せるとしたら彼だけですね。子ガニに母ガニの訃報を届けた蜂も「栗さんの指示に従っただけ」と主張しており、やはり彼が第一発見者で、真犯人なのでしょう。そんな分かりやすくて稚拙なミステリーある?(ミステリー書ける人全員すごい)


 サルへの復讐の場面で、『栗の突撃を胸で受け止めたサルはよろめいて~』という描写がありますが、これって栗とサルの質量比を考えるとなかなかのパワーですよね。このパワーがあれば、例えば母ガニを後ろから押すことも簡単にできそうです。「あのとき、彼女が突然、前に出てきたせいで…………」というサルの証言と、横歩きしかできない母ガニの間にあった矛盾も解決しそうです。


 それでも、母ガニの死因はあくまで柿。柿を母ガニにぶつけられたのは、状況から見てサルしかいません。ですが最後の方で子ガニが推測していた通り、正面から投げてぶつけられたというわけではありません。子ガニは『あるいは、上か?』とも推測していました。上から柿がぶつかったとすれば、それは投げたというよりも、落としたに近い状況であると思われます。


 サルは本当に、母ガニに意地悪をしたのでしょうか。もしかしたら、サルは本当に親切心から母ガニに柿の種を渡し、木に登れない彼女のために熟れた柿の実を落としてやったのかもしれません。彼には他の生物に対する、隣人愛に近い感情があったりしたのかも。彼が死んだ今となっては、真相は永遠に闇の中です。


 まあどう見ても木に登れないカニに柿の種渡すとか、普通に余計なお世話以外の何物でもありませんけどね! 「あのとき、彼女が突然、前に出てきたせいで…………」というセリフも、殺しておいて責任転嫁しているようで大変見苦しい。結局、独りよがりのお節介は自己愛の域を出ないものなのかもしれません。


 それにしても、何故栗は母ガニを殺して、その罪をサルに押し付けたりしたのでしょうか。作中で描写されている限りでは、母ガニは普通の息子想いのカニで、とても殺されるほどの恨みを買う存在には見えません。もしかしたら、母ガニを殺したのはあくまでおまけで、栗が本当に殺したかったのはサルだけだったのかもしれませんね。臼や蜂からも普通に嫌われていましたし、あのお節介さですから、知らぬうちに多方から恨みを買っていても不思議ではありません。


 「リーダーがお前さんでなきゃ、俺たちはこんなに団結できなかった」という栗のセリフだけは、唯一の本心だったりして。


 またまた解説と関係ない雑談を挟むのですが、作中の地の文がウザい感じというか、所々カッコで茶化したりしているのはそうしないとまともに書けないと感じたからです。なんですか馬糞が喋るタイプの復讐系ミステリーって。素面じゃとても書けませんよあんなもん。次のお話からはさすがに、もう少し鼻につかない感じにしたつもりなのでご安心を。


 ここまで読んでくださりありがとうございます。解説と感謝(と雑談)を終えたところで、これにて本当に、めでたし、めでたし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る