『詩 うでどけい』

やましん(テンパー)

『詩 うでどけい』


 死がやってくる直前、


 父は、ベッドのうえで、


 さかんに、愛用のうでどけいを


 見ていたのだ、めでるように、



 いまおもうに、


 父は時間を見ていたわけではなかったかもしれない、


 ちょっとまえまでは、


 うでにぴったりだった。


 それが、いまは、その、骨だけみたいなうでから、


 すかすかになって、ぶら下がるのだ。



 ぼくは、いま、うでどけいをはめている


 いつ、すかすかに、なるのだろうか?





        ⌚ジカンノモンダイサ

































 

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『詩 うでどけい』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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