大正時代を舞台に、宿命を背負った“翡翠姫”と、五蘊の黒竜を継ぐ青年との契約結婚から始まる物語。
政治・神話・契約が絡み合い、重厚さの中に凛としたロマンが漂います。
硬質な“儀礼・政治”と、甘い“関係性”の場面転換が見事で、読み心地はしっとり、それでいて熱い。
言葉の選び方や所作の描写も端正で、世界の温度や匂いまで伝わってきます。
「契約」と「祈り」を核に、神話的モチーフが丁寧に編まれていく設計は読み進めるほどクセになるのです。
そして――
本作は「恋愛三部作」の第三部。
過去作を知っているとニヤリとする仕掛けが散りばめられていて、思わず「ここで繋がるのか!」と胸が熱くなります。
もちろん独立して楽しめますが(実際に自分は第二部から読んでしまいました)、シリーズを追っている方には倍の感動が待っていること請け合いです!