波影市沿岸・廃ホテルにて

調査報告書・第11号

対象施設:波影市沿岸 廃ホテル「シーサイド館」

調査日:20XX年6月20日

調査班:波影市文化観光課・廃墟調査班


1. 背景


対象の廃ホテル「シーサイド館」は、沿岸観光の中心地にあったが、経営破綻と老朽化により閉鎖された。

閉鎖後、館内に立ち入った者から、廊下や客室で足音や人影、機器の異常などの報告があった。


今回の調査は、館内・ロビー・客室・廊下・屋上の現状確認、過去報告の再現性検証、写真・動画・音声資料の取得を目的として実施した。


2. 調査結果

2-1. 施設状況


ロビー:家具は散乱、古いシャンデリアが微かに揺れる。窓ガラスの一部は破損。


廊下:床板は軋みやすく、天井の配線や照明は破損・腐食している。


客室:カーテンは破れ、ベッドや家具は湿気で変色。


屋上:避雷針や手すりは錆びており、海風で微かに揺れる。


2-2. 異常現象


ロビーのモニターに、短時間だが人影が映り込む。過去の廃船や廃温泉旅館で確認した影と似た形状であったが、一瞬で消える。


廊下を歩くと、誰もいないはずの場所から足音が追いかけてくるように聞こえる。


客室内で、触れていないベッドや家具が微かに揺れ、手を置いた壁には濡れた跡が残る。


屋上で風に混じるように、低いうめき声が録音される。過去の廃校や廃病院で記録した声と同質の周波数に近い。


2-3. 証言断片


元従業員X(男性・60代)

「閉館後も夜になると、廊下や客室から誰かが歩く音が聞こえることがあった。以前見た廃船や廃旅館のことを思い出すような……」


近隣住民Y(女性・40代)

「ホテル前を通ると、窓の奥に誰かが立っている気配を感じる。でも近づくと、そこには誰もいなかった」


3. 総合所見


調査期間中、ロビー・廊下・客室・屋上で断続的な異常を確認。

人影、足音、揺れる家具、低いうめき声など、調査班以外の存在を示す現象が記録された。

映像や音声資料は不完全であり、原因は不明。異常は未解決のまま公式記録として残す。


4. 備考


本資料は公式調査記録として保管され、無断での閲覧・複製は禁止。


映像・写真資料の一部は劣化または消失しており、全貌確認は不可能。


異常は現在進行中の可能性あり。


老朽化した建物や屋上の危険も高く、立入禁止区域の厳守を推奨。

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