愛の月 – A Light for Each of Them
玲月 ちゅみ
プロローグ
「あちゃー…またやりすぎちゃった」
心地よい風が吹く丘の上。
ピンクのツインテールが揺れるルナが言う。
「ルナ…お前は何度言ったらその癖直せんだ?」
「ごめんてー」
「まあ、でもルナのお陰で
討伐出来たわけですし、いいじゃないですか」
「ノクタはルナに厳しすぎるんだよー」
「あー?あいつがバカだから言ってんだよ!
脳みそ全部そのデブ乳に行ってんじゃね?」
ノクタは白衣の隙間から覗いた鱗を、
さりげなく袖で隠しながら、
どかっと地面に座る。
その仕草に、誰も気づかない――ルナ以外は。
(また隠してる……)
ルナは何も言わずに目をそらした。
あの鱗が、ノクタにとってどんなものなのか。
どれだけ、見られるのが怖いのか
――知っている。
魚人族なら、
美しくびっしりと並んだ鱗になるはずなのに。
ノクタのそれは、
混血ゆえにまばらで、不規則で――
『下品』
誰かの声が脳裏に浮かぶ。
でも、それを誰よりも強く信じてしまってるのは
――本人だった。
だから見せない。見せられない。
だから、ルナも言わない。
ただ、いつも通りに振る舞う。
「はーい!
体力ないノクタがなんか言ってまーす!」
「うーん…確かにルナはバカだけどさ」
白いうさぎの耳をぴょこぴょこ動かしながら、
ミミが呟く。
「な…っ!ミミには言われたくないよ!!」
陽の光を受けて、天使の輪がきらめく。
その輪を触りながら、ふふっと笑うテミ。
「変わらないと思いますよ」
「「そんなわけない!!!」」
ハモるルナミミ。
「とりあえず必要なもんは揃ったし行くぞ」
「え!ノクタもう行くの!?待ってよ!」
猛獣の皮剥をしながら焦るルナ。
「これないと服作れないの!
だからちょっと待って!」
追い討ちをかけるように、
「私も終わりましたよ」
「え!?テミも!?」
「ルナごめんねー、ミミも終わった」
「うそでしょ!?ミミも!?」
「そういう訳だからオレら先帰るなー」
ーーーーーーーーー
「結局、皆置いていくし…
まあ、でもいい皮取れたしいっか!」
星空が綺麗な夜。
虫の音を聴きながら足元に目をやると、
光るなにかを見つける。
「なんだろこれ?石?」
満点の星空のような石に目を惹かれる。
意味もなく目が離せなくてーー
気づけばずっと見つめてた。
もしかして、これが恋…?
「…っていやいや、ないない!
アタシにそんなの、わかるわけないし〜」
そもそも石だし。
「まあ、でも持って帰ろっ」
それがなんの石かも知らずに――
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