魔女失格

茶村 鈴香

魔女失格

呪わしいくらいに想うの

悪い薬を使ってもいいなら

私のものにする


トカゲと松脂と黒猫のヒゲ

乙女の涙3滴と夜干しのセージ

絶対振り向かせるレシピ


でも 私のものにしたところで

放浪癖のあるあの人は

夜毎 遊びに出るだろうね


呪わしいくらいに想うの

それなら長い鎖をつける

寝台に括り付けておく


私だけのあの人にする


けど それじゃつまらない

奔放に生きるあの人の

言葉に仕草に 惹かれてるから


呪わしいくらいに想うの

声を張り上げて仕事して

気の合う連中と呑んで笑って


呪わしいくらいに想うの

そういうあの人だから

私だけのものにするのは無理


呪術は効かない 意味がない

時間の流れに賭けるしかない


魔女失格 私には

魔力も若さも美しさもない


でも


いつか

いつかチャンスがある事を


10年経ってもそのままの

あの人でいてくれることを


10年かけて歳はとっても

あの人好みの私になることを


深く深く深く 唱えてみる

叶う呪文になるように


魔女失格だけど唱えてみる

叶う呪文になるように


10年後 安いお酒で

朝まで笑って話していたい


悪い薬は封印するわ

魔女失格だもの








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔女失格 茶村 鈴香 @perumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ