ゴリモノ短編集~週末の王国へようこそ~

路地猫みのる

あらすじと登場人物

あらすじと登場人物 2025.08.19版

 魔物と毒が蔓延する魔境の中心部に建国された「アルカンレーブ王国」は、魔境に適応できない人類のために、虹の女神スピネルが毒を清め、魔物を排した、人間が住みやすい土地。周囲には九つの『虹の神殿』があり、聖職者たちが結界を張ることで、魔境から魔物の神殿を防いで、人類は繁栄を極めていた。


 しかし、建国は約1300年前の話。

 魔物から人類を守るための『虹の神殿』は、長い歳月を経て劣化しており、このままでは人類の生存は危ういと、女神をまつる神殿の長である聖教皇フォアスピネが「滅びの神託」を下す。

 この神託により招集された若者たちに、聖教皇は以下のことを達成するよう指示した。

・『虹の神殿』の建築材料である、女神の力を宿した物質、虹の貴石エリストル。国内では枯渇しつつあるため、魔境で新たな鉱山を見つけること

・原初のアルカンシェルと呼ばれる、精霊たちが女神の力を宿して制作した、特別な道具を5つ揃えること。所在が判明しているものは、『月と星の錫杖』と『聖剣リ・レマルゴス』の2つのみ。

・かつて聖教皇とたもとを分かち、魔境に行方をくらました、影の精霊の協力を得ること


 精霊とは、かつて女神とともにこの地に飛来した、巨大な力と長寿を持つ生き物であり、聖教皇は自身が光の精霊であることを明かす。影の精霊と力を合わせることで初めて、『虹の神殿』を修復が可能になるという。

 かつて王国の礎を築いた虹の女神はすでに死去しており、『虹の神殿』の修復に関しては、聖教皇を頼るしかない状況である。


 そうして旅に出た一行の前に、新たな事実が浮上する。


 『虹の神殿』を守護する、聖教皇の直弟子たち。聖侍者と呼ばれる彼らは、「半精霊」として、を授けられた者たちだ。

 それぞれ死を迎えようとしていた人間たちに、聖教皇が精霊の力を分け与えて蘇らせた者たち。彼らは、とても重要な使命を背負っていた。

 『虹の神殿』と同化して、結界を維持すること。すなわち、『虹の神殿』は半精霊たちの生命エネルギーを糧として機能しているのだ。

 エネルギーが尽きれば、『虹の神殿』の力は弱まる。そして、同化した半精霊は女神の御許へ召される。


 それは人類の知らない、王国の闇の歴史であった。

 そして、一行の中にいる聖侍者ウヌ・キオラス。彼こそ、次なる闇の犠牲者となるべく、半精霊として蘇った人物だ。

 自らの運命を受け入れ半精霊となったほかの聖侍者たちと異なり、4歳という幼さで人間としての生を終えた彼は、その事実を知らない。


 そして、聖教皇が、風の精霊がいる可能性が高いと示した、魔境の奥地の「風の神殿」にたどり着いた一行。

 風の精霊セタにより、5つの原初の原初のアルカンシェルの全容が明らかになる。


 これまで旅した魔境の大部分は砂漠であり、食糧難、寒暖差、魔境の毒に苦しめられた一行は、しばしこの村で休息を取ることにする。


最新話『休暇 前編』

https://kakuyomu.jp/works/16818093089761229195/episodes/16818792438683309889


< 主な登場人物 >


*アルナール・フォン・ウラヴォルペ(21)

ウラヴォルペ公爵家長女、小公爵、達人級の腕を持つ騎士。

淡紅色の髪を結い上げ、金色の瞳で男どもを見定める『鉄拳公女』。

原初のアルカンシェル『聖剣リ・レマルゴス』を父より借り受ける。


*アルフェリム・フォン・アルカンレーブ(21)

アルカンレーブ王国第二王子。

鮮やかな金髪、明朗な蒼天の瞳。アルナールとは、王立学園時代の同級生。

祝福シュエルテ『真実の瞳』は相手の状態異常を見抜く。

主な武器は『金烏の剣』。


*レオニアス・フォン・ウラヴォルペ(19)

ウラヴォルペ公爵家長男、アルナールの弟。上級騎士。

赤みを帯びたやわらかな金髪、社交界で薔薇に例えられる濃紅色の瞳。

祝福シュエルテ『風霊の導き』を使いアルカンシェルと意志疎通が可能。


*ウヌ・キオラス(99)

聖教皇の直弟子の一人、聖侍者せいじしゃ。半精霊。

銀色の長髪を三つ編みにして後ろに流し、半精霊の証である異色虹彩オッドアイは、右目が灰色、左目が蒼色。外見年齢は20代。

祝福シュエルテ『闇夜の抱擁』は、魔境の動植物から魔性を取り除き、飲食に供することを可能にする。

また、原初のアルカンシェル『月と星の錫杖』を聖教皇から預かり、この力を借りて『女神の息吹』という魔獣を遠ざける効果を発揮する。


*シアン・ノイルーク(15)

ヘムズヒュール公爵の家臣であるノイルーク男爵家の娘。錬金術師の卵。ヘムズヒュール公爵の孫にあたるが、愛人との間に生まれた家系のため貴族扱いはされない。

小柄な体躯と短い黒髪、好奇心に満ちた紫暗の瞳。

主な装備は、偏光・暗視が可能なゴーグル、対魔獣用武器の十字弓クロスボウ


*ミラーノ・フォン・パルマン(25)

ウラヴォルペ公爵家の古参の家臣パルマン伯爵家の長男。上級騎士。

硬い鳶色の髪、暗緑色の瞳。若いが遠征討伐経験の豊富な歴戦の戦士。旅のメンバーとして選抜されていないが、独自に条件を満たし同行する。

主な使用武器は『黒槍』。


聖教皇フォアスピネ / 光の精霊

虹の女神スピネルに仕えた一角獣ユニコーン。人間を手助けするよう依頼され、それを千年以上の間、実行し続ける精霊。

地面に届きそうな細い銀色の髪と、凄まじいエネルギーを秘めた蒼い宝石のような瞳、人間が表現することが難しい美貌の持ち主。

燦煌さんこうの精霊の光の性質を持つが、影が分離したことで、現在は半分の力しか持ない。

『月と星の錫杖』の真の持ち主であり製作者。

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