第十四話[先生とお散歩]~白焉修道院篇~
────── 一方その頃 ──────
煌橙は悩んでいた。
「あぁぁ、どうしよう、行っちゃったよ。先生に言った方がいいのかな、それともほっとくか?」
一人残った部屋の中でブツブツと。そこで、煌橙は決めた、「ほっておく」と。
「あいつらがどうなろうと、僕の知ったことじゃないけど…気になる!あの雰囲気は喧嘩になってそうだけど、どこでだろう、思い当たるところに行ってみるか」
その思い当たる場所とは、「修道院のそばの浜辺」「商店街へ行く道中の畑」「修道院の庭」と言うところだろう。さすがに庭はないだろうが。
煌橙は初めに一番近場の浜辺へ向かおうとした。しかし、珀爾達は無断で出ていったが、一応外出するには先生の許可がいる。そのため、煌橙は大焚先生の元へ行き外出の許可を求めた。
「先生、ちょっと外に行きたいんですけどいいですか?」
そう問うと、理由を聞かれた。そんなに厳しいわけではないが、安全の為ある程度の事は聞いておくのだろう。
「り、理由ですか……えっと、ちょっとお散歩に行こうかなとぉ……」
すると、大焚先生が
「散歩ですか、なら丁度私も今暇してたんです。ご一緒してもいいですか?」
そう聞かれると、煌橙は焦った。もしかすると珀爾達の喧嘩がバレて珀爾達が怒られるかもしれないから。しかし断れるはずもなく、一緒に散歩することになった。
『まずいなぁ……もしこのまま二人の喧嘩の場に先生とばったり会えば…珀爾達が怒られるぅーー』
そのまま数分、煌橙と大焚先生は談笑をしながら歩いていた。
「煌橙さん、珀爾とは仲良くできていますか?龍惺さんとも仲良くできていましたか?もちろん、仲がいいのは知っていますけど、三人がどれ程の友情があったか教えてくれますか?」
唐突な難しい質問に、煌橙は戸惑いつつも自信を持って返事をし、話し出した。
「はい!とても仲良くしてますよ。龍惺はいつも物静かだけどたまに出るおっちょこちょいを三人で笑ったりしてました。今でも、珀爾とは仲良く過ごせてますし、二人で一生懸命修行を頑張ってますよ!珀爾は少し気性が荒い気がしますけど…」
そう聞いた大焚先生は微笑んだ。すると、煌橙があっ!と声を上げた。その目が捉えていたものとは、肩を組んでこちらへ歩いてくる珀爾と皓暉だった。煌橙は、大焚先生が気づいていないかどうか確認するために大焚先生の顔を覗いた。おそらく、今気づいたのだろう。そちらの方をじっと見ている。煌橙は心の中で思った。
──────『終わった』──────
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