第八話 [後処理]~白焉修道院篇~
───一晩続いた、紅鬼の鬼との戦い。───
夜が明け、もう戻っていいだろう思った、学校に避難していた子供達は、みんなでゆっくり歩きながら修道院に帰った。
そこには、火は消えていたものの、真っ黒な柱しか残っていない修道院が見えた。それを見た子供達は走ってその場に駆けつけた。その場には、頭から血を垂らし意識の無い大焚先生と、輪術で消火を試みたが、輪が尽きて意識が飛んでいる氷室先生がいた。
「先生ー!!」
珀爾が叫んだ。だが、返事は無い。それから、子供達は先生が目を覚ますまでその場でじっとしておくことを決めた。
一時間ほどたっただろうか。お日様は上がり、辺りは明るくなっていた。すると、氷室先生が目を覚ました。
「あら、皆戻ってきたの?って、鬼は!?火事はっ!?」
氷室先生は、一瞬プチパニックを起こしながらも、冷静に当たりを確認し、状況を把握した。そして、氷室先生と子供達は大焚先生を待った。
むくっ。突然大焚先生が起き上がった。それに、氷室先生がすかさず状況を伝える。
「なるほど...皆さんおかえりなさい。しかし、どうしましょう。
氷室先生は、子供達を連れて輪術師協会へ行って、援助を受けてください。この状態ではご飯も食べれませんし。私は、修道院内の確認をしてきます。」
氷室先生は返事をし、皆を連れて協会へ向かって歩いて行った。
ほとんど壁も残っていない修道院の中に入ると、残酷極まりない景色に大焚先生は目を背けそうになった。しかし、子供達の元にいち早く向かわなきゃ行けないと思い急いで調査を始めた。
「これは…?稲川さんに水谷さん。山本さん、田中さんも。本当にお疲れ様でした。輪術師として人生を全うできたでしょうか?」
大焚先生は、知り合いだったのだろうか。四人の大人達の名前を一人一人読み上げ、悼む言葉を捧げた。
そこで、大焚先生は龍惺の姿が見えないことに気付いた。
「なんだ、稲川さんたちが死守してくださったのだろうか。今はどこかに逃げているのでしょう」
そして、鬼の姿がないことを確認し、逃げられたことは理解した。でも、龍惺の遺体がないことに一番安心した。
───輪術師協会では───
「あの、白焉修道院の副院長です。今晩、鬼の襲撃を受けて、輪術師協会の術師の方も来てくださって。しかし、修道院は、焼失しました。どうか、この子達の食料などを。住む場所を一時的にいただけないでしょうか?」
「そのような件は、役所に行ってください。」
そう突き放された。だから、氷室先生は協会の裏に周り子供達と大焚先生を待っていた。
すると、ハッとした様子で協会の受付にいた人が氷室先生に声をかけてきた。
「あの、その修道院にはうちの協会の術師もいたんですか?なんという方か分かりますか?」
その問いに、氷室先生は全然協会と無関係だったため答えられなかった。しかし、
「もうすぐすれば院長がここに来るはずです。院長なら、何かわかるかもしれません。名前を呼ばれていたので」
受付の人はなるほどといい、非常食ならと思い、協会に置かれてある非常食をこの場にいる人数分持ってきてくれた。子供達は然程多くは無かったので、非常食を持ち出してきてくれた。
すると、息を切らした大焚先生が協会に到着した。
「えっ!?院長さんって大焚さんだったんですか!?」
突然受付の人が叫んだ。
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