第3話 アサガオの色革命

 今年も小学校でアサガオの栽培が始まった。5月から夏のような気候である。アサガオたちは夏休みを前に花を堂々と咲かせていた。


 アサガオの代表色であるアオとモモが何かの成功を喜んでいた。


「ようやく色を変えられるようになったのね!」とモモの明るい声色が響いていた。

「わたしは淡青色から赤紫色にもなれるみたい!」とアオからも弾んだ声が返ってきた。


「わたしたち、何代目かわからないくらい品種改良されたみたいだけど、1日の中で色が変えられるって素敵よね!」

「校内のアジサイたちもびっくりしていたね!」

「彼女たちはまだ土の影響を受けているからね」とアオとモモの会話は止まらない。


「学校の先生たちは困っていたね。子どもたちは受け入れてくれたけど。」

「うん、まだ記憶?がうまくいっていないって、あの子が言っていたよ」

「あの花の妖精の子だよね。そのうちみんな色が変えられなかったことは忘れるみたいだね」


「昔の突然変異も成功したしね!」

「次は葉っぱの毛をなくそうかな?」

楽しい会話と笑いが絶えないアオとモモ。


「子どもたちが家にわたしたちアサガオを持ち帰ったら、またびっくりする大人が増えるかもしれないね!」

「そうだね!花の色変化をみてもらえるよう、家でもお水をあげて枯らさないでほしいな」


 アサガオたちは自ら願い、花の色を変えることに成功したということらしい。これまでアオは青い花のまま、モモは桃色の花のまま、つぼみから花が咲き、枯れていたのであった。一部のアサガオの願いにより、ほとんどの学校にあるアサガオたちが色変化を成功させた。


 本当にアサガオたちは色を変えられなかったのだろうか。もしかしたら、今まで変えることができないと思い込んでいただけかもしれない。

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