緋色の国の総統は今日も戦線を押し上げる
柳 アキ
俺の日常もまた誰かの日常
日常とは、今この瞬間である___
〈ナンバーside〉
“ナンバーや
各員、体勢は整ったか”
“こちラ前線部隊 異常なし いつでもどウぞ”
“長射程部隊〜 問題なーし ポイントは計画通り抑えてるよ”
“こっちも問題なし”
よしよし。全ての部隊に問題なし。
にしても整ったな……
アルファはどこ行った?
“インカムより緊急連絡だぞ、よく聞け!”
アルファやん。インカムから…?
幹部だけへの通信なら普通に本部の放送室からでも……まさかあいつ!
“これより電撃戦を行う!
前線部隊は敵陣に穴を開けるべく突っ込む
後方支援、大将の首はそれぞれ
スネーク(長距離部隊)とシャープ(暗殺部隊)
お前らの独断で動いてとってこい!
そして前線部隊、バミリの指揮をアルファに変更する
電撃戦後、穴が開いたら指揮をとる
それまではレコードとバミリの指揮で進むぞ
以上、改めて体勢を整えるんだぞ”
まあ、そこにいるなら言ったって聞かないか。
そして電撃戦ね……今回の国は結構高低差のある国や。
だから防衛ラインの維持が得意。
きっと細かくそれは決まってて一個二個破られたくらいじゃ動じないんやな。
今その情報が入ってきたってことは……
「総統は電撃戦がお得意ですからね。もう任せましたよ私は。」
「まあ、な。兵士だったときよりも今のほうが実力を出せるんやあいつは。」
リンネは電撃戦によって緻密に練られた計画が全て白紙になったことに悲しんでように見える。
「でもね、予防策としてちゃんとその準備はしてるんですよ。相手国の守りが堅いことくらい私だってわかりますとも。」
さすがうちの作戦参謀さん。
〈レコードside〉
“前線部隊に通達
これより電撃戦を行う
従って、装備変更
防衛ラインを突破後はバミリ指揮官からアルファ総統へ引き継ぐ
繰り返す……”
まさかリンネの言っていたことが本当になるなんて。
高低差の激しいここは当然山がいくつもある。
だから比較的緩やかなところをかき分け行く……
「そんなことうちの総統が一番嫌いなンだよね
『いいから突っ込め!』って絶対言うと思った」
隣にいるバミリ補佐官も思わず苦笑。
「ところで隊長、アルファ総統はどちらに?まさか戦場にはいませんよね?どうやって通信を……」
「それならご心配なく。」
「…ナっ!?」
「え、あ、あ…」
「おお、アルファ」
「アルファ総統!」
直々に指揮をとるってそう言うことなんだ……うわー
…ナンバーが怒ってるのが手に取るように分かるナ
僕も巻き添え2時間お説教コースだ。
「アルファ、とりアえず現状だけ説明ね。
敵の防衛ラインは全部で12。
でもどれも山の麓、かつ光源もナイ
リンネの装備は全員装備。
んで、お望みどおり山登りをスルよ。
装備はすでに整ってる。あとはゴーサインのみだよ」
「いやいや!なぜここにアルファ総統がいらっしゃるんです?ここ戦場です!ましてや前線。私らのトップがこんな危険な場所に身を晒さなくても……」
「ああ、お説教はその辺にしてくれ。帰ったらたっぷりと聞くさ。自分の身は自分で守れるぞ。それより……」
アルファは目線をこちらに移す。
それを深いうなずきで返す。
「じゃあ決まりだぞ。
……“全軍出撃”…」
ここからはみんなの単純な体力に判断を委ねる。
なんせ山を最低6つ越えなきゃならない。
肉眼で頂上が見える山とはいえ並の体力では戦闘どころの騒ぎじゃない。
それをうちのボスは出来るって言ったんだ。それに僕も出来ると思っている。こんなところでへばるようなやわな軍隊は作ってない。
“通達、通達
全前線部隊、全軍出撃
繰り返す
全前線部隊、全軍出撃”
「あとは頼んダ。」
「そっちは任せたぞ」
援護はある。あとは進むのみだ。
通信を聞いてナンバーとリンネは本部からコマを進める。
すごろくみたいなマップは誰でもわかるように戦況が可視化されている。
あとに待つのは勝利のみだ___
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