転生したらご隠居様だった! 頭脳は若造、体は還暦。どっちにしてもいいことないので、気楽に冒険者を始めました!?

根⛵九里尾

第1章 ご隠居様パーティーは、C級ランク?

01 第1章第1話 担当の転生者

◆1話をできるだけ短くまとめました。ちょっとした空き時間に、ふらりとのぞいていただけたら嬉しいです。感想などをいただける場合は、章の終わりごとで構いません。もちろん、読んでいただけるだけでも、とてもありがたいです。

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「ギャアアアアアアアーーー…………????」


「……あーもう、うるさいなあ。そんなに騒がなくてもいいから」


「? あれ? ここどこ? ……あんた誰?」


「私は女神。女神のハルーミよ。よろしくね、田中一郎君」




「? ……真っ白! 天井も床も真っ白だ! っていうか、天井ってあるの? 壁だって無いみたい。全部が真っ白なんだ! ……そして、女神? め、女神様なんだ!……あー、そういうことか! やっぱり、俺は死んじゃったんだな。ここは、有名な天界ってやつ? これから、俺はどこに転生するか告げられるんだ! 転生かあ~……なんか憧れるな、第二の人生。…………でもさ、大体、なんで俺が勤めたばかりで、あんな役目を受けなきゃならないんだよ。小さな町の役場って、気楽な仕事だと思ったのになあ。俺の公務員生活、一か月ももたなかったなあ。確かに生活環境課だから地域の森や林の見回りは大切だよ。でもな、最初っから俺に行けとか言うし、あの課長はよ。三人しかいない部署だよ。俺と課長の他にもいるじゃん。ベテランがよ。確かに定年後の年度会計ねんどかいけい職員だけどさ、もと課長じゃん。去年までうちの課で課長やってたんだよ。絶対俺より仕事できるって。俺なんか、この四月に勤め始めて、ようやく三週間の研修が終わったばかりだぜ。行くなら俺じゃなくて、あの定年おやじだよ。まったく、新しい課長も、あちこち忖度しちゃってさ。『若い方が機敏だから』とか言って、結局自分達が楽したいからじゃん……」



 北海道の小さな町の役場に勤めてた田中一郎君。この春大学を卒業したばかりのピカピカの社会人一年生だったのに……残念。この度運悪く公務災害に遭遇し、女神であるわたしの所にやってきたのよね。久しぶりの転生者か。

 ただ、この状況をすぐに受け入れただけでなく、自分の状況説明まで事細かく始めてしまったわ。状況を説明するわたしの仕事が省けて、ちょうどよかったけど。ラッキー!



「えっと……あの……田中一郎君? ちょっと、いいですか?」


「あ! 申し訳ない。女神様には関係ないことですよね。俺が、鹿に蹴られてしまったからいけないんですけどね……熊なら少しは心の準備もしたんだけど、まさかあんな小鹿にね……」


「そ、そうですね。まあ、一郎君にしたら、大変でしたよね」




「でもまあ、ここに女神様がいるってことは、俺はどっかに転生できるんですよね! この状況は、まさに転生前の面接ってやつ? 俺、本はよく読むんですよ。特に、転生して冒険者になるっていう……まあ、ああいうやつね。この状況、ピッタリだもんね。だから、女神様。えっと……ハルーミ女神様でしたっけ? 早いとこ、頼みますよ、ちゃっちゃっとやっちゃいましょ!」


「あ、ああ、はい……。それにしても、あなたはよくしゃべりますね」


「俺は、しゃべることは好きな方だよ。ただ、よくしゃべるかって聞かれると、そんな漫才師みたいにはしゃべれないけど、二時間や三時間ならしゃべり続けてたことはよくあったなあ。なんなら、今回の俺の初仕事をここでしゃべろうか? ちゃんと、ハルーミ女神様に聞いてもらえないと、俺の望むような転生が出来ないかもしれないし。俺だって、せっかく転生するんら、いいスキルをもらいたいし、それに……」


「ちょっ、ちょっ、ちょっと、ストッーープ! 分かったから、何でも言う通りにするから、少し黙ってくれないかな?」



 うっわ、なんだか面倒くさい転生者みたいね。どうしてこうなのかな、わたしの当番の時だけいつもそうなのよね。ようやく女神経験者定期研修が終わって、わたしの当番日だと思ったら、最初からこんなんだもんね。はー……。




(つづく)

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